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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その二十

「果たして」
「そう言ってくれるか」
「はい、指が多くとも」
 それでもというのだ。
「一体」
「実は指が多くとも生まれてすぐにな」
「切ってですか」
「普通にしている」
「別にそのまま多いままでも」
 妻は特にと夫に返した。
「いいのでは」
「そう言ってくれて有り難い」
 タンホイザーは妻の言葉に笑顔になって応えた。
「実はこのことはな」
「タンホイザー家のですか」
「秘密でな」
 家の中のというのだ。
「一族の者しかだ」
「知らないことですか」
「何度も言うが奇形と言ってな」
「忌む人がいて」
「それでな」
 その為にというのだ。
「言えないことだ」
「ですから指なぞです」
「構わないか」
「そして他のことも」
 身体の所謂奇形と言われることはというのだ。
「別にです」
「気にすることはないか」
「そうかと。身体に特徴があるだけで」
 それでというのだ。
「これといって」
「違いはないか」
「人格に問題があるか」
 身体に何かあろうともというのだ。
「そして能力に」
「それはな」
「ないですね」
「では」
 それならというのだ。
「これといってです」
「気にすることはないか」
「私はそう思いますが」
「そう言ってくれて嬉しい」
 実にとだ、タンホイザーは妻に返した。
「それではな」
「それで、ですね」
「これからはこのことはな」
「言われないですか」
「そうする」
「それでは、ただ指はやはりだ」
 どうしてもというのだ。
「五本ずつが一番いいのもな」
「社会ですね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「これからもな」
「そうした子供である場合」
「その時はな」
「切りますか」
「そうする」
 その多い指をというのだ。
「それも社会だしな」
「指についてはですね」
「五本がな」
「一番暮らしやすいので」
「そうしたい」
 是非にと言うのだった、そして。
 タンホイザーは夕食を食べてそこでまた妻に言った。 
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