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ハッピークローバー

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第百四十四話 教会に行ってその九

「しかもそれから一ちゃんが話した二つのお葬式のことがあったから」
「理事長さん達が信者さんの教会でのこともね」
「もう人間じゃなくなっていたんだろうね」
「餓鬼になっていたのね」
「何時から餓鬼になっていたかはわからないけれど」
「何か一度天理教のお世話になって」
 そうしてというのだ。
「それから天理教の悪口言う様になったそうだし」
「その頃からかな」
「そうじゃないかしら」
 こう達川に話した。
「奥さんに逃げられて」
「色々やり直す為に天理教のお世話になって」
「そこで心を入れ替えると思ったら」
 それがというのだ。
「むしろそうなって」
「その時にだね」
「なったんじゃないかしらね」
「餓鬼にだね」
「かえってね、それでね」
「ホームレスになっても反省しなくて」
「幸せになっていないのよ」
 今現在そうだというのだ。
「絶対にその人知ってる人今も生きてるって知って」
「嫌に思うね」
「だってそんな酷い生き方しててよ」
 これまで話した通りにというのだ。
「まだ生きていて」
「しかも生活保護だし」
「本当に困っている人の為のもので生きてるから」
「自業自得なのにね」
「そうだとね」
 それこそというのだ。
「確かに幸せじゃないわね」
「生きていてもね、そういえば」
 ここで達川は思い出した様な顔になって一華に話した。
「太宰治の作品でヴィヨンの妻ってあったけれど」
「太宰?」
「最後生きていればいいってね」
 その様にというのだ。
「言ってたよ」
「そうだったの」
「うん、けれど生きているだけで幸せか」
「そうとも限らないわね」
「今お話してる人はね」
「どう見ても幸せじゃないし」
「酷い人生を送って」
 その結果というのだ。
「自分から不幸になった」
「そんな人ね」
「人間でいられてこそ」 
 その心がというのだ。
「幸せになれるんだろうね」
「そのこと難しいわね」
「犬や猫は幸せになれるよ」
 所謂畜生道にあってもというのだ。
「そうだけれど」
「餓鬼になると」
「もう絶対に無理」
「不幸になるだけね」
「そうだよ、しかし世の中誰が何をしても救われない人っているんだね」
 達川は考える顔になりこうも言った。
「それこそ」
「酷過ぎて」
「それこそ神様か仏様でないと」
 そうした存在が直接というのだ。
「動かないとね」
「救われない人がいるわね」
「もうどんな宗教でも哲学でもね」
「人では救えない」
「そんな人もいるのね」
「そんな人は不幸だよ」
 まさにというのだ。 
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