気がつくと青い肌を持つ人間になって、更には女性となっていた。【未完】
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気がつくと青い肌を持つ人間になって、更には女性となっていた。
ー大ガミラス帝星、帝都(夜)ー
ガミラスは大マゼラン銀河内にあるサレザー恒星系の第4惑星に位置する。建築物はキノコを模したような有機的なデザインの高層ビルが至る所に聳え立ち、各ビルにはチューブトンネルが繋いでいる。
ガミラス星の帝都『バレラス』又は『総統府』にある高層ビル群よりも最も高く天を貫ぬかんとばかりの高さを誇り、そびえ立つ中央にある建物『バレラスタワー』は不思議と見惚れる程である。総督府として機能するその塔こそがガミラス全土を統一した『彼女』が御わす『永世総統アベレーテ・デスラー』の城である。
浴槽…いや温泉全体が煌びやか(ゴールド)に装飾されており、室内は100人は優に入れるくらいの広さを持っている。体の疲れは取れそうだが煌びやか(ゴールド)は直視続けると目の疲れが少しばかりは蓄積しそうであるがそんな時は天井(ガラス張り)を見て星空と、『青い星』を見つめる。
その中に『金髪の青い肌を持つ女性』は汗と疲れを上質な湯に浸かり洗い流していた。
青い肌に栄える金の長髪、菫色の瞳は宝石のように輝き見詰めた者を男女関係無く虜にする程だろう。口にはぷっくりと柔らかそうな桃色の唇があり、口紅など塗る必要が無いくらいベストな色艶があった。
「…ふぅ」
頭を洗ったばかりなのか水滴が背中まで届く髪から前肩へ移り、大きく且つ均整の取れた胸へと落ちる。少しして湯水へと音を立てて落ちる。
彼女は目を閉じて時間が許すまでの間、癒しの時間を満喫するがその最中、必ずと言っていい程に思い出す。…自分が前世の記憶を持った存在で男であったこと。気がつくと青い肌を持った人間になっていたこと、女性となっていること。気がつけば永世総統という『前世に就いていた役職よりも』とんでもない地位に就いていること。
「…慣れとは怖いものだな」
人って凄いなと彼女はそう内心で呟きながら召使いの女性を呼び、ガウンを着て入浴室の出入口へと向かう。
既に待機していたのか召使いの女性が彼女の生まれたままの姿の上に白いガウンを着させて貰いながら入浴施設の出入口へと向かう。この建物が特別な為なのか、一般でも共通することなのか金の装飾と壁が有るのが分かる。そしてそこには壁際に列となって並ぶ12人の女衛士が見えることが分かる。
ダウンを着る彼女の姿を確認すると「イレン・フィズロン(我が総統)」と言い敬礼する。
当たり前であるかのように動じず出入口の扉を女衛士によって開かれ、彼女から見て右の部屋へ召使いと女衛士2人が彼女を誘導し、寝間着に着替える(召使い達によって)。
寝間着に着替えた後はその場所より少し歩き、寝室へと入る。
無論、寝室も只の、では無い。改めて室内を見渡すと、内装は白で統一され、広い空間にキングベッドに丸テーブルと椅子という簡素な家具のみが設置されているだけだった。
そして、部屋の片側全面は一部を除き窓になっており、その反対側に彫刻が施された木造の大扉が存在している。
ベットに横たわる前に外を見る。
緑がかった薄暗い空。眼下に広がる、街並みのものであろう金色の光。そして、暗い空へ飛び交う、二つの黄色い開口部の目玉緑色をした生物のようなフォルムをする大小の軍艦。
「…今更だが本当に宇宙人って居るんだな。今や自分もその一人だが。…アレを見ると本当に実感させれる」
総統1人だけの部屋。防弾ガラスは勿論の他、昭和でよく使われるであろう受話器(SF風)。ホットゲーム(チェス)。ボタン一回押しで召使い、女衛士がやってくるもの。警報アラーム装置。それでもどうしてもか、その手の話をする時は誰かに聞かれていないか最大限の警戒をし、気にする必要があるアベレーテ。
そして最も気にしていることがもう一つ。それは……、
「…隣にある青い星、『イスカンダル』を見る度に地球を思い出すが…」
大窓から見上げるように星々を見つめるが昼間でも肉眼で見える程、近い星があった。それは『イスカンダル』。双子星な為か太陽を回る機動はほぼ一緒。
イスカンダルは女性しか居なく、加えて3人しか人口は居ない不思議びっくりであった。統治するのはスターシャ・イスカンダル。
黄金に輝く髪に透き通るような白い肌、金色の瞳は常に憂いと優しさを湛えている。
(…前世の私は死んだのだ。今の私はガミラスの総統…)
「…地球、か」
そう一言そう言い残して、アベレーテ(転生者)は眠りについた。
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