同志諸君に告げる。これが理不尽だ!
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第20話
前書き
サイト管理者です。第20話「輝き」です。
どうぞ、ご覧ください。
オリビア将軍率いるオリビア艦隊はガトランティス第八機動艦隊より距離を取り、オリビア艦隊はガトランティスに睨みを効かせていた。そんな中で現在、オリビアと数人のクローン将校が作戦室に集っていた。
「此方をご覧ください」
オリビアの参謀を務めるコマンダースキアがホロテーブルを起動させる。
「第11番惑星に待機している部隊からの報告によると衛星軌道上にワープアウトする無数のガトランティス艦隊を発見しました。ワープアウトした艦艇は全て、カラクルム級です」
起動されたホロテーブルにホログラムが投影された。スキアが言っていた通り、ホログラムに映っているのはカラクルム級が次々とワープアウトしている様子。
「カラクルム級戦艦群は巨大な円筒を形成中であり、ワープアウトしたカラクルム級も形成に加わっています。円筒は加速装置と思われますが…恐らく砲台かと。…予測によると現時刻より2時間後の10:20に250万隻となります」
250万隻と聞いて室内はざわざわとし始めるがオリビアからの一声で場が直ぐに静まり返った。
「…あの円筒が砲台であるのならば、射線上に位置する惑星は存在するか?」
「…はい、将軍。不幸な事に存在します。…前置きを挟みますがカラクルム級からなる円筒型砲台は完成し次第、ガミラスが創り出した人工太陽と接触し暴走…そして半径2万宇宙キロに存在する物体を消滅させます」
ワープアウトするカラクルム級より、スキアが報告していた事を分かりやすくしたCG映像に切り替えた。一同はまるで超新星爆発のようであると忽然としながら思った。
「──そして肝心の射線上に位置する惑星ですが超新星爆発エネルギーを転用した場合、有効射程内に入る惑星が1…地球です」
「は?」
『ッーー!?』
オリビアから放たれた冷たく尖ったその声に、この場にいる全員が畏怖の念を抱かせた。
彼女達は知っている。彼女達の上司であるオリビア将軍はセブンス・デイヴィターズの一人、オリビア統治者より創られた存在であるということ。オリビア統治者の姿形、性格すら同一であるということ。そして、オリビア統治者含む”全てのオリビア”は地球を愛しているということ。
だから彼女達は想う。オリビアの為に何か名案を出して作戦に組み込もう、と。
「オリビア将軍、名案があります」「私もです」「将軍、この案はどうでしょう!」「同じく!」
自立心は他の人からの指示で行動するのでは無く自身が考え、自分から行動すること。彼女達はクローン。容姿、才能は勿論、性格までも同じである筈であったが少しずつ個人の性格は変化し自立心も芽生えていた。
〈ミドガルド艦隊旗艦 プロテクト級Ⅱ型 ウルトン〉
「作戦時刻となりました。オリビア将軍」
「これより作戦行動に入る。…荒らしを許すな」
『はっ!』
沢山の案が出された中で一つ、この状況に適切である案を今、実行されようとしていた。
「全艦に達する。これよりバスターレーザーの発射シークエンスに移行する。モードを収束モードへ。…バスターレーザー発射用意!目標、第11番惑星 人工太陽!」
「旗艦より全艦へ達する。ただちに──」「バスターレーザーへの回路開け」「機関圧力上げ!エネルギー充填を開始」
「第11惑星部隊より報告。…地中よりヤマト浮上、波動砲発射準備に入った」
全プロテクト、セレスター級の格納されていた大口径の砲口が蓋を開き、姿を現した。
「カウントを開始、15秒前…13、12、11」
バスターレーザー搭載がされていない戦闘艦は前以って射線上から退避し、充填中のプロテクト、セレスター級を護衛する陣形となっていた。
「人工太陽より多数の小型ホール発生。敵艦隊へのエネルギー流出と思われます」
「…7、6、5」
エリスドライブによって、凝縮されたエリスエネルギーが送り込まれていき、バスターレーザーの砲口に緑白い光が蓄積され始めた。砲口内を満たしていき、その莫大なエネルギーを開放せんとして今か今かと待っている。
「エネルギー充填120%!」
「…3、2、1…0。バスターレーザー、発射ァ!!」
下部に搭載されているバスターレーザー砲口から強力な閃光が生じると共に一気に周囲宙域を緑白い光で照らし出す。
プロテクト、セレスター級から放たれた破滅の光球が眩い閃光と共に風船のように破裂したかと思えば、一本の太い光道が前方方向へ、我行く破壊の道標となって螺旋を描きながら突き進む。それが5本。
現戦力で250万隻を相手に正面きって戦うことなど土台無理で…愚かなこと。
ではバスターレーザーでは? うん、それは良いのかもしれない。しかし250万隻を撃滅することなどそれは拡散モードですら現戦力ではとても難しい。…ではどうこの戦況を打開するか?それは…中央に接続された人工太陽を撃つことだ。
「バスターレーザー、波動砲…人工太陽に命中!」
なんで?その意味はいったい何か?っときっと思うだろう。…だが意味は確かにあった。
「報告。敵カラクルム級戦艦群の機関部及び活動停止を確認しました」
人工太陽をバスターレーザー、ヤマトから放たれた波動砲により破壊。それによってあれだけの数を誇った250万隻のカラクルム級戦艦群は、その円筒内で発生し続ける紫の雷…波動共鳴の干渉波で使い物にならなくなった。波動共鳴の干渉波は大雑把で表すとすれば、ある種の電磁バルスのようなものである。
機能に支障を受けたカラクルム級戦艦群は衛星軌道上を漂うことしか出来ないでいた。これを見たミドガルド将兵は大喜び。たった5隻で250万隻を宇宙を漂う死んだ船としたのだから分からんでも無い。
まぁ大喜びしている中、この艦隊を率いるオリビアNPCは意図せず白いカラクルム級にチラッと視線を向けて内心「ざまぁ♪」と笑顔で中指を立てていたのはここだけの話…。
偶然か、その白いカラクルム級は第八機動艦隊を指揮する旗艦であった。
場面は変わり艦橋では常に沈着冷静と自負する男、メーザー提督は怒りの表情を隠さずミドガルド艦隊とヤマトを睨んでいた。
だがメーザーにとって最も屈辱的だったのはスクリーンに映るヤマトの艦長代理を務めていると自称する青年が言っていたこととその行動だった。
ヤマトは攻撃することも無く避難民を乗せて数日後、第11番惑星を後にした。
また場面は変わりミドガルド艦隊もヤマトが発った同じ日&同じ時刻に11番惑星宙域を後にしたが『第10番惑星の成れの果て』…アステロイドベルト(小惑星帯)にて紛れ込むように増援として哨戒より駆けつけたミドガルド無人駐留艦隊と共に布陣。
地球の守りは現在ガミラス駐留艦隊と地球防衛軍の山南艦隊が就いており、衛星軌道上にはカラクルム級を撃沈出来るよう目標に設計された地球防衛軍の重武装型戦闘衛星が多数配備されていた。
太陽系内にはワープアウトを阻害するガミラス臣民の盾とガーディアン級次元跳躍防御艦を至るところに配備していた為、ワープアウトすることなど有り得ないのだが一応念の為…というのが政府上層部の見解ということだろう。
最もガトランティス第八機動艦隊はヤマトを追うべく第11番惑星を後にした為、それらは良い意味で杞憂に終わった。
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