同志諸君に告げる。これが理不尽だ!
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宇宙戦艦ヤマト2202
第15話
前書き
サイト管理者です。第15話「浮遊大陸奪還作戦」になります。
どうぞ、ご覧ください。
*はナレーションの声です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ワープアウト終了。全艦、縦深陣形へ移行を開始」
「前方に艦影多数、捕捉しました!距離は約0.3光秒!」
「IFF識別完了、ガミラス軍辺境警備第38任務部隊とミドガルド第21機動艦隊を確認しました」
「全艦、取り舵一杯。これよりガミラス、ミドガルド艦隊と合流する」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
美しい星々が存在する宇宙空間に突如、多数のワープゲートが形成されたと同時に氷塊を散らしながら現れる艦影が現れた。
紡錘-葉巻形の形状が特徴的であるこの艦隊の正体は、地球連邦防衛軍であった。
地球連邦防衛軍特別混成艦隊───ある任務を前に、各地から稼働艦を集めて臨時に編成された機動艦隊。
ガミラス戦役時代の艦艇に、イスカンダルよりもたらされた波動エンジンを載せただけの間に合わせの急造艦というか、改造艦というか…未だに復興の途上にある地球にとっては、やっとの思いで揃えたものなのだ。寒い懐事情。
その地球艦隊の眼前にかつての仇敵、ガミラス艦隊と同盟国であるミドガルド艦隊の姿があった。
大きくその国旗を描いた不恰好な盾を構えた超弩級戦艦───ゼルグート級3隻を中心に、デストリア、ケルカピア、クリピテラ級といった所謂標準的な”ガミラス艦”で構成された艦隊だ。
ミドガルド艦隊はツンドラ級、エリスl級20隻を中心にセレス級軽空母改、マーレトランキリタティス級ミサイルフリゲート、FG300型フリゲートⅡ級、FG300型装甲フリゲートⅡ級で構成されている。
フリゲートとはいえ、地球、ガミラス基準から見てもミドガルドのフリゲートは巡洋艦サイズの大きさだ。ちなみに唐突であるが地球復興NOW!の最中にミドガルド大使が砲艦来防してきたのは此処だけの話…。
地球防衛軍特別混成艦隊はガミラス、ミドガルドと合流したことで地球、ガミラス、ミドガルド連合艦隊となったのだ!熱い、コレは熱い!!
*落ち着いてね?(ニッコリ)
…はい。
連合艦隊が向かう先には、小惑星帯に鎮座する扁平な形に潰れたガス惑星と、それを取り巻くガトランティス機動艦隊の姿があった。
今更ですが、このミドガルド艦隊を率いている者、オリビアです。宜しく。私はミドガルド艦隊旗艦であるツンドラ級『エシャレット』の艦橋に居るぞ。
「閣下、たった今、地球より映像通信が。我がミドガルド艦隊だけでは無く、地球、ガミラス…ガトランティスを除いて全ての艦艇にです」
士気を上げる為もそうだが、作戦内容の確認の意味合いもあるのだろう。気になるな。よし、全艦隊、回線を開け。
「はっ」
ノイズと共に中央スクリーンに一人の男が映し出される。彼は、芹沢虎鉄か。
『ーーー。奴等がこの浮遊大陸を占拠して既に60日…。基地要員の救出はガミラス側も諦めかけていたが、ミドガルド特殊部隊によって救出作戦は成功した』
あぁ、クローンコマンドー+コマンドーバトルドロイド部隊が救出作戦に赴いたことか。いやアレを赴いたと表現して良いのか分からない。
…地球には、特にガミラスには内緒でバレないようこっそり施設内で実戦訓練していたのだが、まさかガトランティスによって既に占拠されているとは思わなかったな。というかそのままの場の流れで、気づいたら救出して一緒に脱出…。
いや、無事に脱出が出来てよかった。ガトランティス艦隊がその時、もの凄い数少なかったとはいえ、危なかったな。助かってよかったな。基地要員達よ…。
『攻撃目標、ガトランティス艦隊及び八番浮遊大陸基地。…浮遊大陸の奪還の栄誉は我々地球艦隊に託された。ガミラス、ミドガルド軍は先鋒として突撃。後に我々が内漏らした艦隊を各個、撃破する』
任したぞ、地球艦隊よ…。
しかし、あの装甲突入型のゼルグート…。漆黒の塗装と白の線で描かれた不思議な紋様のコントラストを纏った模様…異彩を放っていて畏怖の念を抱くな。
それにこの戦術歩兵のような陣形、いや隊形?明らかに時代遅れ過ぎないか??まぁ従うが。
「敵味方信号の再確認を完了」
「データリンク開始。各艦はグリッドの表示位置に注意せよ」
「敵ガトランティスの警戒ラインを侵入しました」
「敵艦隊を確認。…艦種識別、メダルーサ級殲滅型重戦艦3、ナスカ級打撃型航宙空母130、ゴストーク級ミサイル戦艦70、ラスコー級突撃巡洋艦150、ククルカン級襲撃型駆逐艦250」
多いな。少しではあるものの連合艦隊の上を行く数字だ。
しかし、メダルーサってあのメダルーサか?確か頑丈なゼルグート級を一撃の元で葬るあの?レーダ外より一方的に攻撃してくるあの?…心配になってきたな。
「我がミドガルド含む連合艦隊、間もなく作戦宙域に到達します」
「連合艦隊、間もなく交戦距離に入ります」
「敵艦隊、艦載機デズバデーダの発艦を確認しました!」
エリスドライブが全ての艦艇に搭載されているとはいえ、あの恐ろしい攻撃を耐えられるのはこの場に無いがそこはこの場に居るガミラスのゼルグート級の出番である。
あの壁のような盾は特別なものだからな。火焔直撃砲を受け止めることが出来るのは勿論のこと、そういった転送システムの転送座標を大きく狂わせる特殊な妨害電波を放つ機構が盛り込まれており、火焔直撃砲はゼルグート級の盾のみに集約され攻撃さぞ得なくなってしまう代物だ。
後は、確かワープ阻害能力を持っていたのだったな。この場には無いが我々にも似たような代物があった気がする。
では、艦隊戦の時間だな。まずは…よし。…全セレス級に達する。ファイターを直ちに発艦せよ。
「はっ。ファイターを発艦させろ」
「了解しました。旗艦より通達する。直ちにーーー」
命令を受け取った全セレス級は次々とファイターを発艦していく。
「艦隊、交戦を開始しました」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「敵艦隊、浮遊大陸へと引き返して行きます!」
戦況は少しずつではあるものの多数の艦艇とメダルーサ級2隻を撃破したことで優勢へとなりつつあったその時だった。敵艦隊が反転し、後退したのだ。…それだけでは無い。
「敵艦隊の後方、浮遊大陸基地の影から巨大な構造物が1つ出現!」
その報告に私は食い入るようにその浮遊物体を凝視してしまう。それは岩石で出来た十字架型の巨大構造物で、全長約八〇〇mは下らない巨大さである。戦闘艦でもない代物がガトランティス艦隊の中央を分けて逆進──即ち連合艦隊へ向けて前進してくるのだ。
前進をする未確認物体は敵艦隊の最前線である前面に移動したと思えば、その場で停止した。
しかも、よく見れば戦闘機にも満たないであろう、小さな一〇〇機もの物体が、周囲でリングを形成して回転していた。
…何をしようとしているのは分からないが私は下した。追撃せよっと。しかし、追撃するのはどうやら我々だけでは無く小破したゼルグート級1隻と50隻のガミラス艦隊も共に追撃。
命令を受け取ったミドガルド前衛艦隊は機関を最大にし、うねりを上げて追撃を開始した。
そこで新たな変化が訪れた。表面の岩石が突然としてひびが入り、瞬く間に砕け散って周囲へと飛び散っていったでは無いか。
まるで内側から外へ向けて圧力が解放されたようである。大小様々な岩石が周囲に向かって広範囲に飛び散っていく中に、岩石ではない明らかな人工物──つまり巨大な宇宙船(我々ミドガルドからすると驚かない…感覚麻痺しているな)が、連合艦隊の前に姿を見せたのだ。
それも五一〇mに及ぶ巨大な十字架に近い形状をしているが、直ぐにその巨大艦は体制を寝かせる──というよりも、これが本来の姿勢であり、偽装の為に艦の姿勢を縦方向に向けていたのだ。
ガミラス艦と似たような緑色の艦体色をしており、艦体形状はやや縦長のロケット型であるものの艦首の形状はマイナスドライバーの様に尖っている。艦首両舷と艦尾両舷には潜水艦にある様な、一対の安定翼らしきものを備え、艦底部にもT型の構造物四つが一列に並ぶ。
上甲板には、聳え立る巨大な艦橋構造物があるが、その艦橋もまた独特なもので固定式連装大型砲を土台として、その上に三連装砲塔を三基重ね置き、なおかつその天辺に艦橋が乗っているのだ。
地球、ガミラス基準で言えばアレは大戦艦クラスだ。確かあの艦艇の名前は、カラクルム級?
そして、後退した筈の敵艦隊は既に反転しており、その大戦艦の直ぐ後ろ列に砲塔を向けたまま居座っている。
「機関波動パターンはガトランティス特有のものと一致。アレは間違いなくガトランティスの戦艦です!」
…だがそれがどうした。たかが1隻では無いか?前衛艦隊に再通達、撃滅せよ。
「は、はっ!」
たった一隻で、我が前衛艦隊の勢いを止めてくれようというのか。蛮族共め、随分と舐めた真似をしてくれるではないか。…不思議とブーメランが此方に返ってきたのは何故だろう。WSO時代でそんなことをしたからかな。…嫌な予感が襲ってきた。
「カラクルム級より攻撃、来ますッ!」
なんと驚くことにたった1隻のみとは思えぬ程の攻撃である広範囲のシャワービームを上下前面へと浴びせて来たのだ。接近し過ぎていた前衛艦艇の殆どはこの短時間の内にシャワービームの中に埋もれ、艦体がビームであっとに言う間に蜂の巣にされた挙句に轟沈していった。
「前衛艦隊、被害甚大!」
「第二五宙雷戦隊壊滅、第四二宙雷戦隊通信途絶!?」
「我がミドガルド前衛艦隊及び先行したガミラス艦隊、全滅を確認しました!」
なんたることだ。300隻の内、50隻あまりを一度の攻撃で失ってしまうとは…。
…やはり宇宙人は侮れないな。恐ろしい恐ろしい。反省だな。
このままでは全滅してしまう。地球艦隊もカラクルム級の射程内に入ってしまった為に被害を受けており、文字通り全滅するのも時間の問題であろう。
「ッ……閣下、敵の砲撃が突如停止!」
なんだと?
ふと、豪雨の様なビームを叩き付けて来たカラクルム級の砲撃が止んだという報告に、私は眉をしかめた直後に、チャンスが再び訪れたと再認識した。恐らく敵の攻撃には持続性が無く状時間の砲撃は不可能なのだ。…可能であったら詰んだ。
直ぐに再反撃の指示を下そうと思い至る。
「閣下!地球軍司令部より緊急電です!」
こんな時に緊急通信だと?まぁいい。読み上げろ。
「全軍に通達する。指定した第三戦闘ラインまで、速やかに後退せよ…とのことです」
…プランA、か。…よし、後退だ!!
全艦、直ちに指定されたポイントまで後退だ!急げ!!巻き込まれるぞ!?
『了解!』
さて、指定のラインまで後退が完了したと同時に山南艦長が乗る”最新艦艇”も所定の位置に到達するだろう。
ーーー同志よ、聞こえるか?
頭に響くこの声は、同志か。
ーーーあぁ、聞こえている。
ーーーそうか、たった今、バスターレーザーを搭載したプロテクト級も山南艦長と一緒に所定の位置に到達した。言う必要は無いと思うが山南の隣にプロテクト級は居る。
ーーー発射体制には移っているか?
ーーー間もなく、ソレは終わる。
いよいよか。では同志と同志シエラよ。頼んだぞ。バスターレーザーの力を見せてくれ。あ、今思ったのだが、この調子じゃ全ての連合艦隊は後退出来そうで無く、間に合いそうに無いのだがちょっと心配なところだ。
〜〜〜プロテクト級〈シエラ〉〜〜〜
「いよいよ、だね」
あぁ。いよいよだ。我々の力の一端を地球と共にガトランティスに見せつけてやろう。
同志シエラ、始めろ。
「分かった。…指示通り、本艦は、プランAに、従い、敵艦隊、殲滅する。バスターレーザーの、発射準備を、速やかに、整えて。モードは、拡散モードに…」
「了解しました。バスターレーザー発射準備に入る。モードを拡散モードへ移行。機関圧力上げ!エネルギー充填を開始」
「前線の友軍艦隊、退避行動に入る。なお、発射体制完了までに退避を終えるのは無理かと…」
確かに前線の連合艦隊は、左右に退避行動へと移行しているもののスムーズとは言い難く、特に真っ先に突撃して敵陣系の深くに入り込んだガミラス艦隊等は時間が掛かってしまい、バスターレーザーと山南が乗る”最新艦艇”である〈アンドロメダ〉による攻撃の被害を受けてしまう可能性があるかもしれないからだが…。
しかし、コレに関しては問題は無い。最新の多重マルチロックオンシステム照準を搭載している為、ガトランティスのみが被害をもらうからだ。
「構わない、発射を、継続。これも、拡散、バスターレーザー、試射を、兼ねた攻撃。多重ロックシステム、フル活用、敵と味方が、双方ともに、射線上へある場合は除外。それ以外の敵艦、全てロックし、攻撃を行う」
「はっ」
さて、そろそろ、充填は完了する頃だろう。
「エネルギー充填率、一〇〇%を突破!」
「カラクルム級からの攻撃が止んだ。敵艦隊行動開始、半包囲に移る模様です」
どうやら長く続かなかったな。
味方艦隊に後を託したということは消耗が激しいのだろう。まぁ此方としては好都合だが。
この艦に備え付けられた戦術コンピューターも、多重ロックシステムを以て前方の敵艦のみを尽く照準に合わせてしまうなど、人間には出来ない作業をあっという間に済ませた。
格納されていた大口径の砲口が蓋を開き、姿を現した。
こうなれば後に残された作業は、秒読みを開始してバスターレーザーの発射を命じるだけである。エリスドライブによって、凝縮されたエリス=エネルギーが送り込まれていき、その莫大なエネルギーを開放せんとして今か今かと待っている。
恐らく〈アンドロメダ〉も秒読みを始める頃だろう。
「カウントを開始、15秒前…14、13、12」
「艦長、コンピューターがカラクルム級をロックしていません」
「今さら再登録は間に合わないが、バスターレーザーの余波を受けて無傷とはいくまい」
「…8、7、6、5」
バスターレーザーは直撃せずとも、至近に居ればそのエネルギー流の凄まじい放射熱などの余波を受けることになり、それを受ければ、大抵の艦艇は装甲を剥離された挙句の果てに、バラバラに分解されてしまうのがオチであった。
あのカラクルム級も無事では済むまいが、願わくばデブリ群の成れの果てへと思うばかりだ。
「…3、2、1……0」
「拡散バスターレーザー、発射ァ!!」
同志シエラは発射を命じた。
下部に搭載されているバスターレーザー砲口から、強力な閃光が生じると共に一気に周囲宙域を緑白い光で照らし出す。だが放たれたのはバスターレーザーだけでは無く、青白い光を照らしながら放つ地球艦アンドロメダも同様だった。
プロテクト級から放たれた一つの砲口に堪った破滅の光球が、眩い閃光と共に風船のように破裂したかと思えば、一本の太い光道が前方方向へ、我行く破壊の道標となって突き進む。
それは、あっという間に戦闘宙域に達した。美と破壊を纏った光道は、一定の宙域に着た途端に直線だった道筋が螺旋を描き始め、互いに縺れあう様に突き進み続けた。
その数秒の後、螺旋を描くエリス=エネルギーは、第八浮遊大陸の周囲を周回していた衛星の側面を文字通りに抉り、威力を衰えさせることも無く戦闘宙域に差し掛かった。
凄いな(感激)。
バスターレーザーは戦闘宙域に到達するや否や、数百以上の光が生み出され、辺り一帯が光の美しさと共に破壊の限りを尽くす。大陸基地は無論のこと数百という分岐したバスターレーザーにガトランティス艦隊は基地と共に呑まれて跡形もなく消し飛んだ。
「敵艦隊の九割以上を殲滅、浮遊大陸基地の消滅、並びに惑星の半壊を確認。なお、バスターレーザーとアンドロメダより放たれた拡散波動砲の影響で宙域一帯の磁場が乱れております故、残敵の確認は難しいかと」
「急速冷却開始。機関部に異常は見受けられず、戦闘面を除き航行に影響はありません」
「報告します。バスターレーザーを最大出力で放った関係もあり、エリス=ドライブに多大な負担が生じており、冷却を急いでも数十分は掛かります。戦闘能力は大幅に低下し、ミサイルや魚雷といった兵装が現状、使えます」
「友軍艦隊の被害はゼロ。健在です」
成功だな。艦隊決戦に使えることが証明されたがやはりと言うべきか、機関出力に負担が掛かるか。プロテクト級をベースにした戦艦ロジャー級であれば機関出力も事足りるだろうな。とはいえ、バスターレーザーが艦隊決戦時に有効である証明が出来たことは喜ばしい。
同志シエラ、作戦を第2段階へ移行。通信回線をオープンチャンネルにし、友軍に呼びかけろ。
「分かった」
いや〜、今日は素晴らしい日だな。ストレスも発散出来て一石二鳥だな♪。
「こちらは、ミドガルド軍総旗艦〈シエラ〉。第八浮遊大陸基地の消滅を確認。これより掃討戦に移る」
『こちらは、地球連邦防衛軍総旗艦〈アンドロメダ〉。第八浮遊大陸基地の消滅を確認。これより掃討戦に移る』
いつに無く流暢だな同志シエラ。後、同じタイミングで山南も呼びかけているとは。
「地球ガミラス、ミドガルド連合艦隊は引き続き静観を。なお、諸君らの健闘に敬意を表する」
『地球ガミラス、ミドガルド連合艦隊は引き続き静観されたし。なお、諸君らの健闘に敬意を表する』
きっと今頃は連合艦隊は勝利の喜びの声を上げているだろうな。うんうん。
さて、残りの敵を全て片付けようか。
〜〜数十分後〜〜
「瀕死カラクルム級ッ、ワープアウトしました!」
…え、マジ?只でさえ、バスターレーザーを最大出力で放った為に動けないと言うのに…。それにしてもバスターレーザーと拡散波動砲による余波すら耐えきったあの、こんがりと赤黒くなったカラクルム級は連合艦隊総出を以ってしての苛烈を極める程の砲火である艦砲射撃は、カラクルム級表面すら貫通しないとは。
私と同志シエラが座乗するプロテクト級は現在は身動き出来ず、砲撃すら出来ないがもし正常に復旧すれば、このプロテクト級で撃沈させることが可能であると言うのに。1回もカラクルム級に砲撃したことが無いから分からんが撃沈は絶対出来ると確信がある。
「敵艦は離脱した地球の友軍艦〈ディファイアンス〉〈サラトガ〉の航跡を辿った模様!つまりは…っ」
地球、か……やはりこの世界は我々に優しく無い。非情である。
*この二十数分後になって、私達は地球への特攻を阻止できたことを知る。特攻って世界大戦時の神風特攻みたい…。ちなみに阻止出来たのは、なんと海底ドックに眠る〈ヤマト〉が海底ドックから迎撃したという衝撃の報告を添えていた。
…まぁ、地球連邦防衛軍総司令部に特攻してくると元ヤマト女性クルー(現オペレーター)の報告を聞いたミドガルド大使であるソフィアは駐留無人艦隊を出撃(衛星軌道をたまたま艦隊居た)させ迎撃したのだけども、不幸なこと力不足+ほぼ全滅。え、全滅理由?それはまた次回に…。
後書き
ミドガルド艦艇は全て白を基調とした塗装をしています。プロテクト級は白銀のような塗装ですが基本的には白です。
バスターレーザーですが威力の方は波動砲の下位互換に当たります。追記として「第八浮遊大陸の周囲を周回していた衛星の側面を文字通りに抉った」はその大体がアンドロメダから放たれた波動砲の力によるものです。
ちなみにミドガルドとしては初となる地球訪問の際の艦艇は大使が乗る純白の戦艦〈ブリュンヒルト〉とAC721スサナー級6隻(その内の2隻はミサイル型)であります。
純白の戦艦〈ブリュンヒルト〉は銀河英雄伝説リメイク版の艦艇として本作に登場しました。
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