| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

今度こそ、成し遂げてみせる【未完】

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第10話『護衛作戦』「名付けて天下の往来独り占め作戦」「この作戦名ってお年寄りの考えじゃ」「なんですって?」「なんでもないです」

 あの出来事から数日が経過した。

 だが特異二課はとある報告を受けて衝撃を受けていた。

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 『・・・』

 現在特異二課本部司令部はある報告を受けてピリピリと張り詰めた空気となっている。

 何故か?それは防衛大臣が殺害されたからだ。

 広木防衛大臣。

 異能の力でもあるシンフォギアを一手に扱い、疎まれがちな特異災害対策機動部二課と時に衝突しながらも矢面に立って援助してくれる、良き理解者である。

 そんな人物が今日未明、公用車での移動中に何者かによって襲撃され、命を落としてしまった。

 誰もがその事実に驚きを隠せず重たい空気が司令室に広がる中、扉が開かれる。

 その人物は…、

 「たーいへん長らくお待たせしましたぁ〜」

 「了子君!」

 櫻井了子。
 
 既知の技術体系から逸脱した、未知の技術体系――通称【異端技術】の解明に従事している研究者。
 ノイズに対して唯一無二の攻撃手段となる、FG式回天特機装束【シンフォギアシステム】の開発者でもある。
 場違いにも程がある態度だが、この女性は二課にとって欠かせない存在である。

 弦十郎は彼女へ、今起きている事について説明をする。

 説明を受け彼女、了子は真面目な態度へと一瞬にして切り替わった。

 「心配してくれてありがとう。そして政府から受領した機密指令も無事よ。任務遂行こそ広木防衛大臣への弔いだわ」

 それから少しの時が経ち緊急の会議が執り行われ、最終的に【完全聖遺物デュランダル】を二課本部から永田町地下『記憶の遺跡』に移送する計画となる。

 護送は明朝05:00、護衛作戦の決行の日時と決まった。

 特異二課は、事の重要性を再認識した瞬間でもあった。

 余談だが会議に同席していた響が了子が発案した作戦名を指摘して了子から怖〜い顔をされたとかされなかったとか。

 そして始まった護衛作戦。5台の車と翼が乗るバイク、弦十郎が乗るヘリが用意されている。

 ヒルデは弦十郎の指示の元、遊撃待機中である。

 櫻井了子、響が乗る車を中心とし、左右前後には護衛する4台の護衛車。そして翼。

 作戦は始まった。
 このまま何事も無く…は残念ながら事件は起きてしまう。

 自分たちが走行している橋を渡る途中で、突然と道路が爆発したのだ。

 崩れなかった側へと移動するが1台の護衛車が海へと落ちた。

 敵からの攻撃だと誰しもがそう理解した。

 二課車両群は加速する。

 「(護衛車だけを的確に狙っているのは、デュランダルを損傷させまいとする、コレはノイズを『先の出来事』と同じく【ソロモンの杖】で操っているっ。敵にとってそれほど大事なのだな)」

 ヘリより状況を確認した弦十郎は敵の狙いを推察した。

 で、あるならば…、

 「(相手の狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み攻め手を封じるっ)」

 弦十郎は素早く指示を出す。
 指示に従い、薬品工場に向けて進み突っ込む車両群。

 最後となった護衛車はマンホールから出てきたノイズに取り付かれてしまうが、黒服は咄嗟に飛び降り、乗り捨てられた車両はノイズを乗せたまま建物に衝突し爆発を起こす。

 バイクに乗っている翼は既にシンフォギアを身に纏っており、いつでも戦闘が可能な状態だ。

 護衛対象である車両から了子と響が出て、車から離れる。

 その瞬間、先乗って言った車がノイズによって攻撃され爆発。

 爆発の衝撃により響が吹きとんでしまった。

 状況だが、響と了子はノイズに囲まれている最中。

 翼はシンフォギアを纏っているが響はシンフォギアを纏えられていない。

 ノイズによる攻撃が放たれる。

 回避が出来ない。変身する時間が無い。

 誰しも諦めかけていたその時、一人に女性が前に出た。

 そう、了子である。

 右手を前方に掲げたかと思えばなんとバリアのようなものが現れノイズの攻撃を防いだ。

 それだけでは無く突撃してきたノイズをも炭素化していた。

 少女達はこの光景に唖然としていたが了子からの言葉を受けた響は立ち上がり、ガングニールへと変身した。

 そして始まったノイズを従える少女【雪音クリス】との戦闘が始まった。

 二課はデュランダルを守るために…。
 クリスはデュランダルを持ち帰るために…。

 両陣営はそんな思いを抱きながら戦闘を行うのだ。

 攻防を繰り返しているその時、強い光が戦場となっている工場を覆う程の光が放たれる。

 そこには、空中に静止する。一本の【大剣】。

 刀身は薄くはあるが黄金の光に包まれている。

 地面にはアタッシュケースが壊れていた。

 少女達は理解する。あの大剣こそがデュランダルだと。

 クリスは空中を再び飛行し、その大剣をあと一歩のところで掴み取ろうとするが、響による体当たりにより勢いよく墜落してしまう。

 響は手を伸ばしその柄を掴むんだその瞬間、響に異変が起きた。
 
 響の様子がおかしくなりデュランダルから発する輝きは更に増し始めた。

 光り輝く中でデュランダルはその形を変え、黄金の大剣へと形を変える。
 それと同時に響自身もその体を黒く禍々しい姿に変わっていく。

 この時、響は理性と意識を失っていた。

 輝きを増したそれは、天を貫いた。

 クリスはソロモンの杖を使いノイズを召喚し、響へ突撃させる。

 それに気づいた響は矛先をデュランダルをクリスへ向けて一振りする。

 たったそれだけで工場一帯を吹き飛ばしキノコ雲を作るくらいの爆発が発生した。

 クリスは撤退。
 翼は急ぎ避難する。
 了子は自身を含めてであるが、倒れ気絶している響をバリアのようなもので守った。

 巨大な黒煙を空から見た弦十郎は驚愕した。

 「まさか、デュランダルの力なのかッ」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 そして現場の惨状はとてつもなかった。

 某薬品工場は半壊。地面はえぐられ、建物の大部分が崩壊した。

 その後、移送計画は一時中断し撤収の準備を進めた。護衛作戦は中止となった。

 完全聖遺物デュランダルは政府との協議の末、再度特異二課に保管されることとなる。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧