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今度こそ、成し遂げてみせる【未完】

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第7話「覚醒の鼓動、新たな歌姫」

 〈立花響SIDE〉

 私はあの日、ヒルデさんに助けられた。

……


 未来と一緒に学校に向かっている時、ヒルデさんを見かけた私は手を大きく振りながら声を掛けた。

 「おはようございまーす!ヒルデさ〜ん!」

 ヒルデさんは私の声に気づいて「おはよう」と返してくれた。

 挨拶を交わした私は、気がつけばヒルデさんとの出会った日のことを振り返っていた。

 ヒルデさんとの初めての出会いはライブ会場だった。

 その日、未来は突然と家庭の用事が出来てしまった為、私は親友と共にライブが見れないことに少し悲しさを覚えたけれど、未来の分も見ていこうと決心し足を進めた。

 その時、手に持っていたチケットが気がつくと風に舞ってしまった。

 風で舞って飛ばされたチケットを追いかけている最中、誰かが私のチケットを取り掴んだ。私のチケットを取ってくれたのは、私や未来よりも何年か上の歳の少女だった。

 腰まで届きそうな長い白髪に、見たことの無い何処かドレスチックなスーツが印象的である少女。彼女こそが、今も交友を持っているヒルデさん。

 初めての時は怖かった。けど、この人も【ツヴァイウィング】のライブを楽しみにしている人だって分かったら…ほんの少しだけど、怖くは無くなった。

 そして私はこのライブ会場の出来事が切っ掛けで中学の頃イジメを受けていた。

 会場はまさに、阿鼻叫喚と呼ぶに相応しかったと思う。

 ライブ中に起こった突然の爆発。

 そして、それに引き寄せられるかのように飛来するノイズ。

 他の観客はこの突発的な事態に混乱しながら、我先にと出口へ雪崩れ込む。

 私はこの時、胸に何か当たったことを意識を失った。

 最後、誰かから「生きるのを諦めるな!」を聞いた気がした。

 病院で治療を受けてリハビリを終えて出たらテレビ局の人達から取材がやってきた。

 次の日には学校に行くと机や椅子、私のロッカーにも落書きをされていた。

 沢山のことが書かれてたけど、家はそれ以上だった。物を投げられることもあった。

 未来は私を庇った。けどクラスの皆から「未来さんは騙されてる」「離れた方が良いよ」って。

 私は未来がかばってくれたのが嬉しかったけど悲しくもあった。

 そんなある日、買い物を終えて未来と一緒に帰ろうとした時、私達は捕まった。

 路地裏に連れていかれ私は叩かれ、言葉の暴力にも襲われた。

 未来は泣いてた。「辞めてッ!」っと。

 その日その時イジメから助けられ、自分に手を差し伸べるヒルデさんの姿を。これが私…立花 響とヒルデさんとの出会いであり、その後も未来と一緒に交友をするようになった。



 「ーーひーびーーき」

 「うっ、う〜ん」

 「響〜?」

 「うひゃー!?」

 私は飛び上がった。未来くすぐならいでよ、もう! 私って今寝てたんだぁ。懐かしかったな。

 「響ったら。気持ちよさそうに寝ちゃって?」

 「ゴメンゴメンっ、夕日が気持ちよかったから、つい寝ちゃって」

 夕日が気持ちよかったんだもん、仕方ないでしょう。それにしても…、

 「未来〜?課題はもう少しで終わりそう?」

 「まだまだ掛かりそうだね」

 そうか〜。

 「あ、でも、そっか。今日は翼さんと奏さんのCDが発売だったね。でも〜今時CD?」

 「充実度が違うのだよ、未来君♪」

 私は楽しみなのだよ。はぁ〜、買ったら直ぐ聞くんだ♪

 「だとしたら売り切りちゃうんじゃない?」

 …あ、そうじゃん!急がないと!

 「じゃ、じゃあ、また後でねっ」

 善は急げって言うしねっ。さぁ〜買うぞ〜、えいえいお〜。

 *時は流れ、夕刻。

 ふう、走るのは当たり前だけど疲れるな〜。だがコレも全てはCDの為!あ、そろそろ着く‥な…。

 「・・・」

 *響が目にしたのは、人の往来がある通りで…炭の塊が、至るところで存在している光景だった。

 「ノイズッ!」

 *時は流れ夕方頃、工場地帯に入り込んでしまった響は幼い少女を連れてノイズから逃げていた。

 「お姉ちゃーん!」

 「大丈夫、大丈夫だから。お姉ちゃんがついてるからッ」

 今私はノイズからこの子を連れて逃げていた。

 入り組んで何処に辿りつくかは分からない。ただそれでも・・・走るッ。安全を求めて。

 (もう、息が絶え絶え…帰宅部だからかな?)

 なんとかこの子と一緒に屋上まで辿り着いたけど、疲れのあまり私はよこになってしまった。

 私はこの子が無事なことに安堵の息を出した。ふと、自分達以外の何者が背後に居ることに気づき、上体を起してパッと後ろを振り替った。

 後ろにはノイズがいた。それも複数! 

 「ひっ」

 「ひぅッ」

 私は怯えながらも、この女の子を背後に移動させ庇う。

 だけどそんな行為など無駄だと嘲笑うかようにノイズは私達を包囲して、ゆっくりとゆっくりとやって来る。距離は既に10mを切った。

 (私に…私に出来ることはきっとある筈だ!)

 「生きるのを、諦めないで!」

 何故か胸が暖かくなって来ている。それも胸の内から込み上げるように。いったい…、

 『Balwisyall nescell gungnir tron』

 気がつけば”詠”を歌っていた。


 ーー特異災害機動部二課本部ーー

 「司令っ、ノイズとは異なる高質量エネルギーを検知ッ」

 「聖遺物反応を確認!アウフヴァッヘン波形を観測、照合……この波形パターンは……!」

 藤尭は観測された聖遺物の波形を既存のデータと照合する。

 照合の結果、合致するデータを発見、そしてその解析結果がモニターに映し出された。

 映し出されたその結果に、司令官である風鳴弦十郎は驚きを顕にする。

 「……ガングニール、だと!?」

 〜〜〜特異災害機動部二課本部SIDE OUT〜〜〜

 ーー十数分後ーー

 「行くぞ、ヒルデ!」

 いやちょっと待ってくれ。 
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