五十一番目の州
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第六章
「彼はまさにだよ」
「そうであって」
「そしてだよ」
そのうえでというのだ。
「私は彼を保守とは絶対に認めないと言っているんだ」
「似非で下種ですか」
「そもそも保守は学び経済や貿易、モラルも宗教も科学を知り」
そうであってというのだ。
「偏見も打破する」
「それが保守ですね」
「彼もお仲間も全くの逆じゃないか」
「確かに」
三森もその通りだと頷いた。
「そうなりますね」
「それで何が保守か。愛国を保守と言っても」
「そんなことを言うのなら」
「似非以外の何でもないよ」
「そうなのですね」
「そう、そして」
小林は忌まわし気に言った。
「彼等には何を言っても無駄だよ」
「変わりませんか」
「変わる、よくなるにもね」
それにもというのだ。
「ある程度の資質、自分を振り返っていいのかどうかね」
「わかる位のですか」
「ものがないと駄目だよ、しかしね」
それでもというのだった。
「そこまで恥知らずだとね」
「自分を振り返ることもですか」
「反省というけれど」
「それもしないで」
「誰が言っても反発して怒るだけで」
「変わらないですか」
「そして愚かなままなんだよ」
そうだというのだ。
「人に反省しろというのは偉そうでも」
「自分でいいかどうかですね」
「時々でも振り返る位でないとね」
「よくならないですか」
「そうだよ、だからね」
そうであるからだというのだ。
「こうした輩は全く反省しないで」
「最底辺なままですね」
「そうだよ、何処までも腐敗していくよ」
「まさに最も恐ろしい腐敗がはじまるですね」
「その通りだよ、だから彼等は同じ様なものしか読まず」
「同じ様な人が書いた」
「そこから出ないでね」
そうであってというのだ。
「成長しない、恥も外聞もなくね」
「ああしてですね」
「保守でも何でもない、愛国の国士様でもない」
「売国奴としか言い様のないことを言いますね」
「そうだよ、ああなってはね」
小林はこれ以上はないまでの軽蔑を込めて言った。
「ならないよ」
「全くですね」
三森は心から頷いた、そうして彼は文学者として学んでいった。その結果彼は似非と言われることは生涯に渡ってなかった。
五十一番目の州 完
2024・9・26
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