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ハッピークローバー

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第百四十三話 豆腐を食べてその十二

「私はね」
「そう思うわね」
「親御さんが亡くなって」
 かけがえのない存在がというのだ。
「それでね」
「そのことを何も思わないでね」
「喪主やるって偉いの?」
 そもそもというのだ。
「何でもないでしょ」
「その何でもないことに対してね」
 それにというのだ。
「プライドがあるから」
「長男さんの」
「こだわったのよ」
「あの、喪主やって何になるか」 
 それがというのだ。
「私わからないけれど」
「だから偉いからね」
「喪主やるの」
「そう思ってたのよ」
「そうなの」
「けれど働かなくてお金もなくて」
 その長男はというのだ。
「何もしない、出来ない、資格も立場もない」
「駄目な人だったのね」
「それで偉そうに言って図々しくて感謝もしないし自分だけで」
「そんな人だから」
「だからね」
 それでというのだ。
「周りは誰もね」
「喪主出来るって思ってたなかったの」
「その時いた場所も」
 そこもというのだ。
「もう不平不満ばかり言ってで」
「いられなくなっていたの」
「それでお母さんが入院しても看病もお見舞いもしない」
「それで喪主やるの」
「出来る筈なくて」
 母は一華に当然という口調で話した。
「次男さんが喪主になったのよ」
「そうなのね」
「次男さんは別にね」
 その人はというのだ。
「喪主だからといって偉そうにしなかったのよ」
「そうなのね」
「特にね」
 これといってというのだ。
「そうだったのよ」
「長男さん怒ったでしょうね」
「物凄く怒ったと思うけれど」
「プライドを邪魔されて」
「それでね」
 そうなってというのだ。
「そうだったと思うけれど周り皆その人の行い知っていて」
「味方しなかったのね」
「そうであってね」
 それでというのだ。
「お葬式の時はただいただけだったそうよ」
「当然ね」
 一華も思うことだった。
「そうなっても」
「一華もそう思うわね」
「ええ、人それも自分のお母さんが亡くなっても」
「そんな風な人もいるのよ」
「そうはなりたくないわね」
「そう思ってこそよ」 
 まさにというのだった。
「正しいわよ」
「そうなのね」
「その人の話はまだあるからな」
 父は嫌そうに語った。 
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