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ハッピークローバー

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第百四十三話 豆腐を食べてその七

「そうした人いたわ」
「そうだな」
「何か凄くね」
 一華は豆腐を食べつつさらに言った。
「酷い匂いだったけれど」
「そうなるのはな」
「胃の調子が悪いからよね」
「そうなんだ、あと癌になるだろ」
 父はここで深刻な顔になって話した。
「あの病気になってもな」
「体臭変わるのね」
「ああ、それも末期になるとな」
 そうなると、というのだ。
「これが死ぬ人の匂いだってなるんだ」
「あるわね」
 母もその通りだと応えた。
「癌も末期になると」
「死ぬ人の匂いって?」
「あるのよ」
 娘に悲しい顔で答えた。
「あんたもそのうちわかるわ」
「死にそうな人に会ったら」
「末期の癌になってね」
 そうなってというのだ。
「それでね」
「そうした人にお会いしたら」
「わかるわ」
「その時になの」
「ええ」
 まさにというのだ。
「よくね」
「そうなのね」
「だから体調もね」
「体臭に関係あるのね」
「口臭も体臭だし」
 そうなりというのだ。
「それでね」
「体臭が変わるのね」
「そうよ、もう死にそうになったらどうしようもないけれど」
 自分ではというのだ。
「けれど普段はね」
「元気な時は」
「ちゃんとね」
「気を付けるといいわ」
「そうしたらいいのね」
「気になるならね、それで気になることはね」
 体臭がというのだ。
「それだけでね」
「いいことね」
「そうよ、身だしなみの一つだから」
「女の子は身だしなみを整える」
「整えたいならね」
 そう思うならというのだ。
「そうすべきだから」
「私も気を付けていいのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そうなのね」
「だから食べものもね」
 こちらもというのだ。
「このままね」
「気を付けたらいいのね」
「いいわよ」
 まさにというのだ。
「そうしていきなさいね」
「わかったわ」
 一華は母の言葉に頷いた。
「そうするわ、ただ死ぬ人の匂いってあるのね」
「これがね」
「あるんだ」
 母だけでなく父も悲しい顔で答えた。 
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