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金木犀の許嫁

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第三十五話 大阪でのデートその八

「電車であちこち移動するだけでしょ」
「ええ、そうだけれど」
「もう私達定期持っていないけれど」 
 自分と夜空はというのだ。
「大阪から通っていたけれど神戸に引っ越して」
「今はね」
「そうなってね」
 それでというのだ。
「今はね」
「定期使わなくて」
「定期の期限が切れてね」
 そうなってというのだ。
「もう使えないけれど」
「それでもなのね」
「電車代位ならよ」
「出してくれるの」
「ええ、だからね」 
 それでというのだ。
「お金のことはね」
「安心していいのね」
「うちで出るから」
 またこのことを言うのだった。
「楽しんできてね」
「大阪のデートを」
「織田作さんの名所巡りをね」
「それじゃね」
「それとね」
 真昼はさらに言った。
「もう一つあるわ」
「もう一つ?」
「確認取るけれどホテルは行かないわね」
「い、行く訳ないわよ」
 夜空は姉の笑っての言葉に即刻顔を真っ赤にさせて感情を露わにさせた顔で否定の言葉で以て返した。
「そんなとこ」
「そうよね」
「まだ早いわよ」
「大阪には一杯あるけれどね」
「それはね」
 夜空も知っていて否定しなかった。
「私が行く場所にもあるわね」
「どちらにもね」
「上本町にも難波にも」
「もう繁華街からちょっと行ったらね」
「あるわね、ホテル街」
「どちらにもね」
「そのことは知ってるけれど」
 それでもと言うのだった。
「もうね」
「行かないわよね」
「だから早いから」
 落ち着いたが顔は真っ赤なままだった。
「行かないわよ」
「そこで行ったらね」
「いいっていうの」
「そうだけれどね」
「だから行かないから」
 またこう言うのだった。
「私達はね」
「高校生ならもう行く子いるけれどね」
「私達は違うから」
 あくまでという返事だった。
「そんなことしないから」
「私はいいと思うけれど」
「じゃあお姉ちゃんは行くの?」
 妹は姉に問い返した。
「デートの時」
「いや、行かないわ」
 即座にだ、姉は顔を赤くさせて否定した。表情には戸惑いがある。 
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