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神々の塔

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第八十二話 神々の黄昏その八

「その意志もなかったけどな」
「大英帝国には」
「世界を掌握しようとか」
「なかったね」
「アレクサンドロス大王もそうやったし」
 占いでこれ以上戦うとよくないと言われ領土拡大を止めたという。
「モンゴルかてな」
「そこまではやったね」
「そやった、しかしな」
「それでもやね」
「幾ら巨大な国でも英雄でもな」
「世界を統一出来るか」
「それはな」
 どうにもというのだ。
「無理や、しかしや」
「それを成し遂げた」
「こっちの世界でな、そう考えるとな」
「凄い人やね」
「何でもこの塔を一人で踏破して」
 そうしてというのだ。
「凄い力を得たらしいが」
「どんな方か」
「気になるな」
「そやね」
「一体どんな方か」
 芥川も言った。
「僕もや」
「気になるね」
「ほんまな」
 それこそというのだ。
「僕等より遥かに偉大な人は」
「ほんまそやね」
「この塔を最初に踏破して」
「この世界を統一したさかい」
「凄い人や」
「ほんまね」
 こうした話もしつつオーロラ、物理的に壁になっているそれの階のダンジョンを進んでいった。そうしてだった。
 神霊達の階に着くとだ、赤い中世の北欧の服を着た黒い肌に赤い髪と目の整った顔立ちの神霊が言ってきた。
「ようこそ、戦の場に」
「はい、ここが北欧の神々の最後の階ですね」
「そうだよ」
 神霊はシェリルに笑って応えた。
「私達の階だよ」
「そうですね」
「そして私の名はロキ」
「わしはトゥール」
 大柄で筋肉質で顔は赤髭だらけの神霊も言ってきた。
「知っておるな」
「わしはオーディン」
 鍔の広い帽子を被り白く長い髭を生やした全身をマントで覆った神霊も出て来た。
「待っていたぞ人達よ」
「うわ、有名な神霊さんばかりで」
 シェリルは彼等の名乗りを受けて思わず言った。
「感動しました」
「感動した?じゃあね」
 ロキはシェリルの言葉受けて彼に応えた。
「これから戦おうね」
「あの、感動は」
「感動は感動でね」
「それはそれですか」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「この階は戦う場所だから」
「そやからですか」
「戦おうね」
「わかりました」
 シェリルはそれならと応えた。
「ほなこれから」
「戦ってね」
 そうしてというのだ。 
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