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金木犀の許嫁

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第三十五話 大阪でのデートその三

「それじゃあね」
「先に上本町の方行くね」
「そうしましょう、それで」
 夜空は佐京にさらに話した。
「さっきお話に出た二つの場所にお寺や学校もね」
「行くんだ」
「学校は休日だし部外者だから入られないけれど」
 それでもというのだ。
「入り口には行けるしね」
「校門だね」
「そちらにね」
「だからいいんだね」
「そうよ」
「その高校は何処かな」
「高津高校よ」
 どの学校かと聞かれてだ、夜空は佐京に話した。
「織田作さんの出身校よ」
「ああ、そうだったんだ」
「その時は中学だったけれどね」
「旧制中学だね」
「織田作さんはあの学校を出てね」
「京都に行ったんだね」
「第三高校ね」
「今の京都大学だね」
「それで順調にいったら」
 結核にならねばだ、この病気は彼の人生を変えてしまったのだ。そしてその死因にもなっているのだ。
「そのままね」
「帝大だったね」
「そこに進学していたわ」
 そうだったというのだ。
「あの人は」
「そうだったね」
「それでお話戻すけれど」
 佐京にあらためて話した。
「上本町の方によ」
「高津高校あるんだ」
「そうなのよ」
「上本町は本当に織田作さんと縁が深いんだね」
「お墓もあるしね」
「お寺だね」
「そのお寺にもね」
 そちらにもというのだ。
「行きましょう」
「やっぱりね」
 何と言ってもとだ、佐京は夜空に答えた。
「お墓があるなら」
「お参りしないとね」
「由縁のある場所巡るなら」
「絶対にね」
「そうしようね」
「楞厳寺にね」
 夜空はその寺の名前も話した。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「そして」
 夜空はお墓の話をした後で佐京にあらためて話した。
「上本町の織田作さん由縁の場所全部巡ってから」
「難波だね」
「地下鉄を使えば」
 大阪市のそれをというのだ。
「そうしたらすぐに行けるわ」
「上本町から難波まで」
「もうね」
 それこそというのだ。 
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