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星河の覇皇

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第八十七部第二章 膠着状態に入りその四十九

「それならば戦場に出てもだ」
「問題はないですね」
「オムダーマンで定められた軍服ですし」
「階級もお持ちです」
「それならですね」
「問題はない」
 一切というのだ。
「国家元首であるが」
「軍人であられますね」
「文民ではない」
「そのこともありますね」
「戦場は軍人の世界だ」
 彼等が存在し彼等が動く場所であるというのだ。
「だからだ」
「それ故にですね」
「軍服を出ているのなら構いません」
「戦場に出ても」
「国家元首であられても」
「国家元首はその国の軍の最高司令官だ」
 このことはこの時代では完全に定まっていることだ、やはりその国の国家元首がその国の軍を動かすのだ。
「しかしだ」
「文民ならですね」
「戦場には出られないですね」
「例え軍の最高司令官でも」
「軍人でないなら」
「それは無理だ」
 絶対にというのだ。
「それはな」
「左様ですね」
「文民は戦場に出られません」
「そこが違いますね」
「軍人とは」
「しかし私は軍人だ」
 そのうえで大統領であるというのだ。
「だから出来る、そして可能でありだ」
「必要ならですね」
「戦場に立たれ」
「戦われますね」
「今の様に」
「そうする、だがあくまで必要な時だ」
 そう判断される時だけだというのだ。
「みだりにはな」
「国家元首は戦場に出るべきでない」
「それは事実ですね」
「国政全体を観なければならないので」
「そして戦場に安全な場所はない」
 例えどの様な場所にいてもというのだ。
「常にだ」
「危険と隣り合わせですね」
「即ち誰もが死の可能性がある」
「左様ですね」
「戦いで死ねば天国に行ける」
 サハラの戦いは全てジハードと定義されている、その為戦いで死んだ者は全て天国に行けるとされているのだ。
 しかしだ、それでもなのだ。
「だが国家元首が死ぬとだ」
「はい、大変なことになります」
「あらかじめ後継者がいないなら尚更です」
「国が混乱します」
「そうなってしまいます」
「これは歴史にある通りだ」
 これまでの人類の歴史にというのだ。
「タギネーの戦いで東ゴート族は王を失ったな」
「はい、トティラ王が戦死しました」
「ビザンツ帝国との戦いで」
「敗北し撤退の中で投げ槍に貫かれ」
「王を失いました」
「あの敗北自体が大きかった」
 東ゴート族にとってはだ。 
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