神々の塔
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第八十二話 神々の黄昏その五
「あたい達がいなくなってもちゃんとね」
「この世界が動く様な」
「そうしたね」
「統治の仕組みは残しておくことね」
「国は人で治めるけれど」
それでもというのだ。
「それは一人の天才や英雄で治めるものやないわ」
「その通りやね」
「創業の時は」
建国時はというのだ。
「英雄が建国して」
「その英雄が統治するけど」
「問題はその後よ」
「その人がおらん様になったらどうするか」
「それが大事でね」
それでというのだ。
「ほんまにね」
「統治の仕組みはちゃんと作ってへんどね」
「シャルルマーニュさんはローマ皇帝になったけれど」
その為カール大帝とも呼ばれている、西欧において今も尚偉大な英雄の一人とされている人物である。
「そのローマ帝国はあの人おらん様になったらすぐになくなったし」
「分割されてね」
そうしてというのだ。
「そうなったね」
「あの人フランク族でね」
「フランク族の慣習に従って」
そうしてというのだ。
「そのうえで」
「ローマ帝国はなくなったわ」
「あの人のローマ帝国は」
「あのローマ帝国はあの人の国だったのよ」
「シャルルマーニュさんの」
「あの人が築いて治めていた」
そうしたというのだ。
「そうした国でね」
「そやからあの人がおらん様になったら」
「フランク族の慣習もあって」
「雲散霧消したわ」
「そやね」
「如何なる大帝国もね」
「英雄や天才が治めてたら」
「その人がおらへん様になったら」
その時はとだ、アレンカールは話した。
「あっという間にね」
「なくなるね」
「そしてそれはね」
「この世界でも同じやね」
「もうね」
それこそというのだ。
「あたい達がおらへん様になったら瓦解するとか」
「そうなったらあかんね」
「そや」
リーはその通りだと述べた。
「ほんまな。そやからな」
「うち等も統治システム確立したね」
「地方行政までな」
「そうしたね」
「官僚システムもそうやし」
これもというのだ。
「議会も内閣もな」
「軍隊も警察も裁判所も」
「当然法も定めて」
「うち等がおらへん様になっても国が動く」
「そうしたわ、私達がおらへん様になった後は」
「その座を選挙で選ぶ」
「棟梁もな」
綾乃が今就いている国家元首の地位と権限もというのだ。
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