星河の覇皇
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第八十七部第二章 膠着状態に入りその三十五
「そこまでの劣勢だった」
「事実緒戦では勝利しても」
「次第に追い詰められていきましたね」
「そしてあと一歩」
「そこまで追い詰められましたね」
「首都も占領された」
その街がベルリンであった。
「そして食糧事情も悪化した」
「そこにさらにでしたね」
「敵の大軍が常に迫り」
「そしてプロイセン軍は絶望的な状況に陥りましたね」
「フリードリヒ大王自身何度も危機に陥りました」
「そうなったが」
しかしとだ、シャイターンは語った。
「それでもだったな」
「はい、プロイセン軍の士気は落ちず」
「果敢に戦い続けました」
「そしてでした」
「最後は勝ちました」
「途中ロシアの離脱もあった」
反プロイセン派のエリザベータ女帝が亡くなり親プロイセン派というよりフリードリヒ大王を崇拝するピョートル三世が即位しての外交政策の転換であった。ロシアはプロイセンと講和しプロイセンに完全に有利な条件で戦争を退いたのだ。
「しかしだ」
「それでもでしたね」
「劣勢を覆したのは事実ですね」
「劣勢の中でも士気が衰えなかった」
「果敢に戦い続けましたね」
「あれこそ真の強さだ」
七年戦争の時のプロイセン軍こそというのだ。
「それで何故我々が士気が衰える」
「そうあってはならない」
「そういうことですね」
「閣下はそう言われるのですね」
「そしてこの程度でそうなる軍隊にだ」
その様にというのだ。
「私はした覚えはない」
「優勢であっても勇敢であり」
「劣勢であってもそうである」
「どういった状況でもですね」
「果敢に戦う軍隊ですね」
「その軍隊を創り上げた」
それがティムール軍だというのだ。
「だからだ」
「それ故にですね」
「この程度で士気は落ちない」
「そうだと言われますね」
「そうだ、だが問題はだ」
それはとうと。
「やはり招集した者達だ」
「これまで軍から離れており」
「しかもティムール軍にもいなかった」
「それならですね」
「どうしてもですね」
「士気が問題だ」
彼等のそれがというのだ。
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