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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその六

「全くです」
「ないのね」
「そうなんですよ」
「よくそんな酷い人になったわね」
「五十過ぎてこれですよ」
 新一君は凄く嫌そうに言いました。
「元々そんな人らしくて」
「元々なの」
「子供の頃から」
「随分ややこしい人だったのね」
「それで母親が甘やかして」
 つまり新一君のお祖母さんがというのです。
「余計にです」
「酷くなったのね」
「何があっても変わらない」
「どんな節目があっても」
「それこそホームレスになっても」 
 そこまで至ってもというのです。
「自分が助かったらです」
「それでよしなのね」
「そこから変わることがなくて」
「自分だけのままなのね」
「そんな人でして」
 それでというのです。
「遂に皆から見放されて、その母親も嫌われ過ぎて一人になって」
「助ける人もいなくなって」
「それで行方不明です」
「そうなってるのね」
「いや、本当にね」
 新一君はどうかというお顔になって言いました。
「あらゆる意味で酷い人ね」
「まあそうした親戚いまして」
「今も反面教師にしてるのね」
「そうなんですよ」
「新一君の周りってある意味凄いわね」
 聞いているとです。
「いい人と悪い人の差が極端ね」
「僕も高校に来て自覚しています」
「それまではそう思わなかったのね」
「はい、普通だって思っていました」
「それがわかったのね」
「そうなんです、ただいい人は」 
 そうした人達はといいますと。 
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