星河の覇皇
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第八十七部第二章 膠着状態に入りその十六
「エウロパ軍は」
「左様でしたね」
「エウロパは彼等のサハラ侵攻以降サハラとは国交がなく」
「出入国は出来ませんが」
「マウリアの協力を得て行っています」
「この百年の間」
そのサハラ侵攻以降というのだ。
「そうしています」
「マウリア軍の艦艇に乗船させてもらい」
「そのうえで行っています」
「これまでずっと内密でしたが」
「それでもです」
「そうしていて」
「今回も」
このオムダーマンとティムールの戦いでもというのだ。
「その様にしています」
「そして学んでいます」
「戦争を見て」
「そうしています」
「国交がないというのに」
苦い顔でだ、キリバス軍の大尉が言った。
「そうするとか」
「姑息と言うべきか」
「ルール違反と言うべきか」
「しかそこまでして戦争を見るとは」
「そうして学ぼうとするとは」
「ルール違反であっても」
そうであってもというのだ。
「見上げたものがありますね」
「全くです」
「そうして戦争を学び自分達が戦う時に活かす」
「そう考えていますね」
「その考えと行動は見事です」
「まことに」
それが例えルールに反することであってもというのだ、国交のない国に入ってはならないというその決まりを無視しても。
「それ自体は」
「そしてそれを糧にして」
「我々と戦う」
「有事の時は」
「そうしてくると思えば」
キリバス軍の大尉はさらに言った。
「彼等も侮れないですね」
「やはりそうですね」
「あの国は敵であり」
「そして侮ってはならない」
「そうした国ですね」
「七十年後にしてやられる」
キリバス軍の大尉はこうも言った。
「かつての欧州列強の様に」
「あの時は日本がそうしましたが」
「今度はエウロパがそうしてくるかも知れない」
「そう考えますと」
「やはり」
「はい、どうしてもです」
今の自分達はというのだ。
「七十年後にそうならない為にも」
「彼等の轍を踏まない」
「その為にですね」
「彼等に対して油断せず」
「常に見てです」
「我々も対するべきですね」
「彼等が成長するなら」
それならというのだ。
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