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擦れ違った人は

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第二章

 徳田は宇喜多を買い出しに連れて行き宇喜多も同行した、その買い出しが終わって店に帰る時にだった。
 宇喜多の横を誰かが擦れ違った、彼は無意識のうちにその人を横目に見た、するとその顔が瞬時に強張った。
「えっ!?まさか」
「どうしたんだ?」
「今さっき擦れ違った人は」 
 自分の横を歩く徳田に歩きつつ話した。
「将軍様です」
「自衛隊のか?公務員の給料だとな」
「ここには来られないですね」
「そうな、というか将軍様って言ったな」
「はい」
 宇喜多はその通りだと答えた。
「そうですが」
「今日本で将軍様って言われてるっていうと」
「あの国のですよ」
「おい、嘘だろ」
 徳田は目を見開いてその顔を宇喜多に向けて言った。
「流石にな」
「将軍様はですね」
「日本にお忍びでか」
「来てるとか」
「あの船でか」
「それか飛行機で工夫して」
「日本と国交なくてもか」
 それでもというのだ。
「潜入したのか」
「違います?」
「一応聞くが」
 徳田は宇喜多にこう前置きして言った。
「髪型どうだった」
「黒電話でした」
「まさにあれか、体形はどうだった」
「かなり太っていました」
「背はどうだった」
「一六七位でした」
「じゃあ年齢は」 
 徳田はこちらのことも問うた。
「どうだった」
「四十代位ですね」
「そのままだな」
「あの、ひょっとして」
「あんな特徴的な奴他にいないがな」 
 徳田はこう前置きして言った。
「しかしな」
「それでもですか」
「本人さんはな」
「流石にないですか」
「ああ、見間違いかな」
「そっくりさんですか」
「そっくりさんもそういないと思うがな」
 この可能性はないと思って言った。
「流石にな」
「あんな独特の外見だと」
「ああ、やっぱりな」
 宇喜多にどうにもという顔で首を傾げさせつつ話した。
「見間違いだろ」
「そうですか」
「ああ、じゃあさっきの人はな」
「見間違いですね」
「そうだよ、絶対にな」
 それこそと言うのだった。 
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