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金木犀の許嫁

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第三十二話 大阪の野球その一

                第三十二話  大阪の野球
 なんばパークスにある串家物語で昼食の串カツだけでなく飲みものそれにデザートを楽しむ中でだ、幸雄はデザートを楽しむ段階になって言った。
「こちらの九階もいいですね」
「南海ホークスですね」
 ケーキを食べている真昼が応えた。
「メモリアルコーナーがありますね」
「はい」
 幸雄はチョコレートフォンデュでコーティングしたマシュマロを食べつつ答えた、それぞれソフトクリームやゼリー、フルーツ等を食べている。
「そうです」
「今のソフトバンクですね」
「今は九州、福岡に本拠地がありますが」
「最初はですね」
「大阪に本拠地がありました」
「このなんばパークスが丁度」
 今自分達がいる場所がというのだ。
「まさに」
「本拠地でした」
「大阪球場でしたね」
「そうでした」
「大阪のチームだったんですね」
「阪神と並んで」
「確か日本シリーズもしましたね」 
 白華はソフトクリームを食べつつこの話をした。
「阪神と南海は」
「昭和三十九年でした」
 幸雄はその年の話をした。
「そうでした」
「最初の東京オリンピックでしたね」
「俗に御堂筋決戦といいまして」
「大阪のチーム同士なので」
「そう呼ばれまして」
 そのシリーズはというのだ。
「南海が勝ちました」
「そうでしたね」
「阪神も健闘しましたが」
 少し残念そうに笑ってだ、幸雄は話した。
「軍配は南海に上がりました」
「そうでしたね」
「そして二十一年後にです」
「阪神は優勝しましたね」
「阪神の優勝は長い間滅多になかったです」
「今は十連覇していますが」
「しかしです」
 かつてはというのだ。
「負け続けました」
「そうですね」
「確かすぐに、ですよね」
 夜空はゼリーを食べつつ極めて嫌そうに話した。
「巨人が九連覇をして」
「日本のプロ野球は暗黒時代を迎えました」
「そうでしたね」
「巨人軍大鵬卵焼きと言っていた子供達がです」
 昭和三十年代のことだ、この頃から既に日本は北朝鮮の様なおぞましい洗脳が施されていたのである。
「そのままです」
「大人になって」
「巨人を応援し続け」
「九連覇の中で、ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「巨人一辺倒となっていました」
「とんでもないことですね」
「世の中に絶対の悪はありませんが」
 幸雄は夜空に深刻な顔で話した。
「巨人は違います」
「絶対の悪ですよね」
「はい、巨人こそはです」
 まさにというのだ。
「この世にあるです」
「本当にそう言うしかないですね」
「巨人は多くの悪事を為してきました」
 巨人の歴史、それは悪徳と専横の歴史と言っていい。球界の盟主を自称し横暴の限りを尽くしてきたのだ。 
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