八条学園騒動記
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第七百六十五話 感謝されずともその十
「実にです」
「よからぬものの多い人だったのですね」
「また強欲も図々しいと考えると」
「ありますね」
「はい、好色は見当たらないという程度の」
「実に下等な人ですね」
「そうです、下等とです」
セーラはベッキーにまさにと答えた。
「その人はです」
「言うべき人ですか」
「長男だからと甘やかされて」
「尊大になったのですね」
「傲慢に、そしてです」
そうなってというのだ。
「何もです」
「人として努力してこなかったのですね」
ラメダスが暗い顔で応えた。
「人として」
「生きる為のことも」
「生きる為に努力、お仕事ですね」
「勉学もですね」
「ではお仕事だけでなく」
「勉学もです」
こちらもというのだ。
「その人はです」
「努力しないで」
「はい」
そうしてというのだ。
「学校の成績もです」
「よくなかったんですね」
「運動もしない人で」
「何もなかったですか」
「子供の頃から」
「それで生涯、ですか」
「努力をしなかったので」
そうであったからだというのだ。
「餓鬼にまでです」
「堕ちたのですね」
「ここまで酷い一生もないですね」
「はい、滅多に」
「ですから餓鬼にまで堕ちるということも」
「難しいですね」
「殆どの人は反省する時もあり」
そうであってというのだ。
「謙虚さもです」
「備えていますね」
「今のままでは駄目と感じ」
「努力しますね」
「それで人でいますので」
「そう簡単にはですね」
「餓鬼にまで堕ちません、ずっと家にいて自分は偉いと思うだけで」
どうであってというのだ。
「読書といってもそこから学ぶのではなく偉そうにあら捜しをするだけで」
「何もしない」
「生まれてからです」
まさにというのだ。
「それではです」
「餓鬼になりますね」
「学校を出てから」
「その学校も大した学校ではないですね」
「努力をしないので」
「勉学もですね」
「一生麻薬に溺れることとです」
そうした一生が最悪のものの一つであることはこの時代でも同じである、麻薬は心身をこれ以上はないまでに破壊するからだ。
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