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四十歳の祖母

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第一章

                四十歳の祖母
 高校を卒業してすぐに就職したがそれと共に結婚してだ。和気亜寿沙茶色にしているロングヘアで細い切れ長の目に細長い眉を持つ面長で薄いピンクの唇と高い鼻が目立つ一五八位の背のすらりとしたスタイルの彼女は笑って言った。
「何かすぐに子供出来そうだな」
「ははは、それはいいな」
 夫で一緒にアパートで暮らしている正治は笑顔で応えた、やはり茶色にしている髪をショートにしていて切れ長の目で細面でやや色黒で背は一七五位だ。二人共所謂元ヤンで高校時代から付き合っていて卒業そして就職と同時に結婚して二人暮らしをはじめたのだ。
「育児は若い時の方がいいっていうしな」
「それに出産もか」
「ああ、だからな」
「子供出来てもいいか」
「それでちゃんと育てたらな」
「いいか」
「真面目に働いてな」
 そうしてというのだ。
「やっていけばいいだろ」
「あたし達でもか」
「俺達ヤンキーだったけれどな」 
 夫は妻にそれでもと話した。
「別に悪いことしてないだろ」
「授業ちゃんと出てたしな」
「部活もアルバイトもやってな」
「万引きもカツアゲもいじめも喧嘩もしなかったしな」
「ああ、だから今も真面目に働いてるしな」
「真面目に働きながらか」
「子供作ってな」
 そうしてというのだ。
「育てたらいいだろ」
「そうだよな」
 妻は夫の言葉に頷いた、夫婦で一緒に夕食を食べながら話している、見れは二人共煙草の匂いはせずメニューもちゃんと作ったものだ。
「じゃあすぐに子供出来てもな」
「ちゃんとやっていこうな」
 夫は笑顔で応えた、そうして実際にだった。
 亜寿沙は十九歳で妊娠して二十歳で女の子を産んだ、顔は亜寿沙そっくりだったが髪の毛の色は二人の地毛の黒で左手の甲に夫と同じ様に黒子があった。 
 二人はその娘を麻理沙と名付けた、そうして二人で大事に育てていった。麻里沙はすくすくと育ったが。
 学生時代はお世辞にも成績がよくなかった二人と違って成績優秀で県内の公立で一二を争う公立高校に入学し。
「おいおい、国立大学か」
「あたし達の娘なのに」
 夫婦で娘がとある国立大学に合格したと聞いて驚いた。
「進学校に入学して」
「そこでも成績よくてな」
「まさか国立大学なんて」
「信じられないな」
「いや、お父さんもお母さんも私をちゃんと育ててくれて」
 黒髪をロングヘアにしている娘は今も何処か元ヤンっぽい両親に話した、二人共今も真面目に働いている。
「お勉強していたらどんどんやれって言ってくれて成績よかったら褒めてくれたから」
「だからか」
「頑張れたっていうのね」
「塾にも通わせてくれて参考書も買ってくれたしね」
 そうしたこともあってというのだ。
「お父さんとお母さんの娘だったから」
「国立大に合格したんだな」
「そうだっていうのね」
「ええ、そうよ」 
 両親に笑顔で話した、そうしてだった。
 麻里沙はその大学に通う様になった、夫婦はそんな娘の学費も出した。だが彼女が入学して一年近く経ってからだ。 
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