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八条学園騒動記

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第七百六十五話 感謝されずともその一

               感謝されずとも
 セーラは二人に今度は庭園の池や水路の傍にある百合、白や黄色のその花達を観てそのうえで話した。
「今その人はまことにです」
「苦しんでいますね」
「餓鬼道において」
「そうなっていますね」
「まさに」
「そうです、そして布施餓鬼を行ってもです」
 そうしてもというのだ。
「やはりです」
「感謝しませんね」
「左様ですね」
「浅ましい人は人を利用するだけで」 
 そうであってというのだ。
「よくすればよくする程です」
「つけあがりますね」
「図々しくなりますね」
「今お話している人もそうで」
「感謝もしないですね」
「そうです、ですが」
 それでもというのだ。
「布施餓鬼は無駄か」
「感謝されないなら」
「それならですか」
「そうはです」
 その様にはというのだ。
「私は思わない時があります」
「価値がある」
「相手が感謝せずあらたまらずとも」
「はい」
 そうだというのだ。 
「それでもです」
「それはどうしてでしょうか」
「一体」
「自分自身がです」
 布施餓鬼を行ったというのだ。
「徳を積めますね」
「布施餓鬼自体が」
「そうですね」
「言われてみますと」
「いい行いなので」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「私はです」
「行うべきとですね」
「お考えになられる時がありますね」
「そうなのです」
 こう言うのだった。
「実は」
「そうですか」
「行えばいいのですね」
「例え感謝されずとも」
「徳になるなら」
「それにです」
 セーラはさらに話した。
「餓鬼が苦しんでいることは事実ですね」
「はい」
 ベッキーはまさにと答えた。
「そのことは」
「左様ですね」
「やはりです」 
 何といってもというのだ。
「餓鬼はです」
「餓えと渇きにです」
「苦しんでいますね」
「その通りです」
「それが餓鬼の業なので」
「常にそういったものに苦しめられていますね」
「その苦しみをです」
 餓鬼のそれをというのだ。 
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