| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヤンキーのパンツ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「ブリーフの奴いなくていいな」
「いや、ブリーフって最近ないだろ」
「今穿いてる奴いるか?」
「そういないだろ」
「それは何よりだよ、ださいからな」
 ブリーフはというのだ。
「だからな」
「それでか」
「お前ブリーフ嫌いか」
「そうなんだな」
「ああ、見るのも嫌だよ」
 それこそというのだ。
「バスケの漫画で不良がジャージ脱がされてな」
「それで白ブリーフだったのかよ」
「それでそれが嫌でか」
「お前ブリーフ全否定なんだな」
「あと覚醒剤やった奴が包丁持って暴れ回ってな」
 そうした事件の話もした。
「そいつ最初裸だったらしいけれど捕まってな」
「ああ、警察の人が穿かせたんだな」
「白ブリーフな」
「裸で逮捕の写真撮れないしな」
「それで買って穿かせたんだな」
「昭和の事件でもな」 
 そうであるがというのだ。
「ガキの頃その写真見てな」
「それでか」
「その漫画読む以前にか」
「お前ブリーフ嫌いになったか」
「特に白がな、それでヤンキーの下着は」 
 強い誇りを持って言い切った。
「やっぱりな」
「トランクスか」
「それかボクサーか」
「どっちかなんだな」
「ああ、ブリーフは駄目だ」
 こう言ってだった。
 池山はトランクスで通した、それは高校を卒業し就職して結婚してからもで。
 妻にだ、息子が生まれるとこう言った。
「おむつ取れたら下着はトランクスだな」
「子供でも?」
「今ブリーフ少ないしな」
 妻に言うのだった。
「いつも言ってる通りな」
「バスケの漫画と覚醒剤やった通り魔ね」
「その連中のことがあるからな」
「嫌いだからよね」
「ああ、本当にな」
 妻に心から言った。
「この子の下着もな」
「トランクスね」
「そうだよ、幸いもうブリーフ少ないしな」
 強い声で言って実際にトランクスにさせた、彼は死ぬまでブリーフを否定して穿かないし家族にもそうさせていったのだった。


ヤンキーのパンツ   完


                  2024・8・17 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧