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第75話「爆撃」
前書き
ネオ・代表O5−1です。第75話「爆撃」となります。
どうぞ、ご覧ください。
テレザート守備艦隊ことゴーランド艦隊を壊滅させた、4号―――ダークネス卿率いるブリリアンス艦隊。しかし、まだ終わりではない。現時点において、勝利は手に出来ていないからだ。
まだ、作戦は続いている。
惑星テレザートを包む封印岩盤の内壁には、メダルーサ級を改造した亜種艦艇―――メダルーサ級戦艦改ヘルベスティアがこれでもかという数で布陣していた。つまりは無数で、それこそダークネス卿率いるブリリアンス艦隊を軽々超えているのである。
敵地上戦力の正体は陸戦師団で、ザンツ・ザバイバルと呼ばれる男によって率いられていた。
ブリリアンス艦隊の空母―――セレス級からハイエナ級ボマーを発艦させたように、メダルーサ級戦艦改ヘルベスティア―――通称メダルーサ級戦車もまた艦載機《デスバデーダ》を発艦させる。艦載機《デスバデーダ》の役割はハイエナ級ボマーを迎撃することにあった。
爆撃と迎撃。
これは、苛烈さを増すばかりだ。
爆撃では、ハイエナ級ボマーが爆弾を投下。その爆弾の正体はプロトン爆弾で、近距離において絶大な威力を誇る兵器である。
爆撃であるが、何もハイエナ級ボマーだけではない。一部のブリリアンス艦隊も艦砲支援をしていた。本来であれば、4号が座乗する最新鋭艦―――ヴァネター級も艦砲支援に当たる筈であった。何故ならばヴェネター級は、惑星爆撃こと機動爆撃に適しているからである。
しかし、それをしなかった。
ダークネス卿からすれば艦砲支援に当たらせるより、増援が来ないかの警戒をしたほうがよろしい。事実、いくら惑星爆撃が適している戦闘艦だとしても、ヴェネター級は1隻のみ。ましてや艦隊旗艦であれば尚更だ。
まぁ、だ。
実をいえば、ストレス発散が目的である。バトルドロイド達の、だ。
不思議な事にどういう訳か、機械でもストレスが溜まるようなのだ。したがってダークネス級は、バトルドロイド達の鬱憤を晴らしているのである。
後は、あれである。
経験値を稼げ、だ。
で、だ。
「テレザート解放作戦」のためにも、この敵地上戦力の掃討は必要不可欠なのである。
迎撃では、艦載機《デスバデーダ》とメダルーサ級戦車だ。特にメダルーサ級戦車の迎撃は凄まじかった。火焔直撃砲は未装備であれど、原型がメダルーサ級だけあって衰えていなかった。
更に、ニードルスレイブと呼ばれるガトランティスの兵器もが迎撃に当たっていた。ニードルスレイブは人型兵器に変更しての攻撃が可能なメカであるが、このメカは何も人型でしか攻撃出来ない訳ではなかった。事実、短剣のような形の飛行形態での攻撃も行え、液状で固めた深紅の槍を発射していた。
迎撃は、まだあった。
ザンツ・ザバイバル旗艦〈ヘルベスティア〉から、ヘルベスティア砲が発射。ヘルベスティア砲の陽電子ビームがとあるブリリアンス艦の命中、シールドを突破され轟沈となった。
ヘルベスティア砲の正体は、反射衛星砲である。ガミラスが開発した兵器であるが、元々これは戦闘兵器ではなく、遊星爆弾の加速と軌道角調整のための点火システム。この点火システムに使用されていた大口径長射程陽電子砲を某大佐が「攻撃兵器への転用」を思いつき、戦闘に投入したのだ。
非戦闘兵器ではあるものの、元々相対速度が高い場合が多い小惑星を精密に照準して命中させられるものであった為、敵艦を照準する際にも何ら問題にならなかった。
したがって、だ。
軌道上にある衛星システムこと人工衛星に向けて陽電子エネルギーを発射し、経由、リフレクターによって形成された反射フィールドによって反射させる。
それが、ヘルベスティア砲―――反射衛星砲だ。
なお、ヘルベスティア砲ではあるが、これはガミラスの科学奴隷によって作られた。某金髪中尉を筆頭としたガミラス人は、腹の奥底から怒りをぶつけたい想いであるのはここだけの話。
閑話休題
爆撃と迎撃。
苛烈さを増すばかりのその時だった。
「人型機動兵器―――《ラズグル》、全機出撃」
艦隊旗艦ヴェネター級〈ダークネス〉から、漆黒の機械巨人―――人型機動兵器《ラズグル》が出撃した。
《ラズグル》は、NASAが開発した戦術機をベースにした人型機動兵器だ。機能や性能、見た目などにおいては地球とそう変わらない。
耐熱対弾複合装甲や対レーザー蒸散塗膜、高い機動性もが地球の戦術機と同じ。
ただ違う点があるとするならば、圧倒的な加速力が出せなく変身出来ないこと、漆黒の塗装が為され金色の奇妙不可解な紋様が刻まれている、だ。
特にこの塗装は、4号ことダークネス卿所属である証でもあった。
その《ラズグル》が、一斉に飛翔した。その数、およそ三百機。
《ラズグル》だけでなら過酷で絶望的でもあっただろうが、艦砲支援と爆撃機、ヴァルチャー級ドロイドファイターといった援護がある。孤独な戦いではなかった。
ブリリアンス版戦術機こと 《ラズグル》の軍隊は、スロットルを全開にして強襲を仕掛けた。
新たなに出現した《ラズグル》の軍隊を、メダルーサ級地上戦車群の一部とニードルスレイブが迎撃する。
《ラズグル》の一部が迎撃行動に移行し、同胞である《ラズグル》隊の突入の援護を行った。援護を受けた《ラズグル》隊は次々とメダルーサ級地上戦車に肉薄し、艦橋を攻撃した。無人によって制御されているのは、判明されているからだ。
ミサイルに大口径パルスレーザー砲、超電磁砲―――通称レールガン。ありとあらゆる武装を受けたメダルーサ級地上戦車は撃破され、また1隻と《ラズグル》は損害を与えていった。
損害はそれだけでない。
ヘルベスティア砲こと反射衛星砲の中継システムの位置はブリリアンスによって特定、半分以上をダウンさせれたことにより、命中精度は劣悪と化す。
反射衛星砲を含めた被害に、比較的安全圏に御わすザンツ・ザバイバルは舌打ちした。そんな彼の元にも、5機の《ラズグル》が到来してきた。
迎撃するも全て撃破するには至らなかった。3機となった《ラズグル》は陸戦師団旗艦〈ヘルベスティア〉の全武装を損傷させると、撃破することなく包囲していった。
するとそこに、1機の《ラズグル》が到来する。
しかしその《ラズグル》は他とは違い、血の如く赤い紋様が刻まれていた。
血の如く赤い紋様が刻まれている《ラズグル》は艦橋のガラスと天井を破壊、内部に入ってきた。仁王立ちするザンツ・ザバイバルに、コックピットから一人の人間がホイっと着地した。
「初めまして、私の名は4号。ダークネス卿と呼んでくれ」
刹那、仁王立ちしていたザンツ・ザバイバルが4号を襲った。相手は華奢な女、漆黒の装甲服を着てようが自分の大剣の前には敗れるしかない。
しかし、ザンツ・ザバイバルは知らなかった。
4号は、科学では説明が出来ない力を保持しているのを。
「無限のパワーを、存分に喰らえ」
―――フォース・ライトニング。
右手の全ての指先をザンツ・ザバイバルへ向けると、その指先から青い稲妻が放たれた。フォースを物理的な電撃に変換して放つ技で、「暗黒卿」と自称する4号にしか使えないのである。
「…!?!?」
それを咄嗟に腕でガードするも、屈強な男は倒れ伏してしまった。生きている。ただ、魚のようにピクピクしているだけだ。
彼女が”その気”になれば、感電死させることなど容易であった。
しかし、感電死させなかった。
その理由は、ライトセーバーで首を討ち取るためである。某サイボーグ将軍と同じく、そういった行為を誉れとしているのだ。某サイボーグ将軍はフォース使えないけど。
「敵将の首、討ち取ったり」
こうして、戦いは終わった。
4号麾下の損害は決して少なくないが、勝利を手にした。
しかし、最後の仕事が残っている。
それは、テレザートを解放する、だ。
だが、それが出来ない。何故ならば、封印岩盤を破壊する手段が無いからである。
破滅ミサイルは無く、火焔直撃砲も無い。
では、どうするべきか。
〈ダークネス〉に帰還中の4号には、既に考えがあった。
それは、だ。
―――宇宙戦艦ヤマトによって解放してもらおう、だ。
こうして、4号の艦隊は隠れた。〈ヤマト〉がテレザート解放したら、カッコよく登場するが為に。
後書き
ふと、気がついたことがあります。執筆していたり劇中の予習をしていたりの時に、です。あれ、そういえば正式名「メダルーサ級重戦艦改ヘルベスティア」ですけれど、これって旗艦のみを指すのか本級の総称なのか、どちらなのでしょうね。
とりあえず私は、旗艦にもヘルベスティアとしました。《ザバイバル》でもよかったですけれど、そうするならヘルベスティア!で《ヘルベスティア》となりました。そうするなら、で察していただきたい。咎めていないですからね。
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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