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ハッピークローバー

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第百三十八話 肩と肘その十三

「テレビにもね」
「騙されたら駄目ね」
「新聞も嘘吐くし」
「雑誌もね」
「だからね」
「迂闊には信じないことね」
「ちゃんと確かめて」
 検証してというのだ、報道されている内容を。
「判断しないとね」
「駄目よね」
「それをしないと」
「騙されて利用されて終わりね」
「人を騙そうとする悪人はいるんだ」
 世の中にはというのだ。
「残念なことだけれど」
「そうよね」
「そしてそんな人だとわかったら」
「信じたら駄目ね」
「絶対に、けれど信じる人っているからね」
 これもまた世の中である。
「本当に」
「何度も」
「そう、何度もね」
 それこそというのだ。
「そうした人に。多くの人が正体をわかっても」
「騙される人はついていくわね」
「カルト教団の教祖でも悪徳政治家でも」
「自分のことしか考えていない人でも」
「周りに言われてもね」
 騙されていて騙す輩を信じているとだ。
「わからない、わかろうともしない」
「そんな人もいて」
「正直そんな人は救えないよ」
「漫画だと騙されてるとわかったら」
 その時はとだ、一華は言った。
「皆目が覚めるか興醒めして」
「そうした人から去るね」
「そうなるけれど」
「現実だとね」
「正体がばらされても」
「それでもね」 
 そうなろうともというのだ。
「信じ続けるよ」
「そうした人がいるわね」
「それも酷い場合はそうした人があまり減らないよ」
「どんな悪人だってわかっても」
「インチキペテン師だってね」
 世の中がだ。
「裁判で有罪になっても」
「まだ信じるのね」
「もうこんな人は救われないよ」
 達川は嫌そうに言った。
「本当に」
「それで騙され続けて」
「利用され尽くしてね」
「終わりね」
「最期は捨てられるけれど」
「捨てられてもわからないわね」
「そうなったら終わりだね」  
 一華に苦い顔で言った、それは彼が実際にその目で見てきたものを語る顔であった。だからこそ苦いのだと一華にもわかった。
「人として」
「騙され続けて捨てられるから」
「そんな風になったらね」
「何の為に生きて来たか」
「騙される為だけだったら」
 それこそというのだ。
「どれだけ虚しいか」
「生きていても」
「そうだしね、騙す人を許してはいけないし」
「私たち自身も騙されない様にすることね」
「それが大事だよね、生きていたら」
「その通りね、さもないと幸せになれないわね」
「なれる筈がないよ」
 こうした話をした、そしてデザートを食べ終えるとだった。
 一華は達川と一緒に片づけをした、自分がすると言ったが達川は手伝った。その時彼女は素直に嬉しいと思って幸せも感じた。


第百三十八話   完


                  2024・6・15 
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