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夢幻水滸伝

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第三百六十話 台風の如くその十五

「アイスを食べつつワインをごくごくと飲まれます」
「ワインとも合うけどな」
「そやけどあの人の飲みっぷりは」
「綾乃ちゃんはうわばみや」
 メルヴィルは真顔で答えた。
「ほんまな」
「そやからですね」
「酒についてはな」
「桁がちゃいますね」
「うわばみは日本では酒豪って意味やが」
「村崎さんはまさにですね」
「それでな」 
 俗にうわばみと呼ばれる酒豪だというのだ。
「底なしでや」
「飲まれますね」
「それでつまみはな」
 酒には欠かせないそれはというのだ。
「何でもでや」
「甘いものでもですね」
「ワイン飲む時はスイーツでもでな」
 それでというのだ。
「ブランデーとかウイスキーの時もな」
「甘いものをつまみにされますね」
「それでアイスもな」
 これもというのだ。
「よお食べてな」
「つまみにされてますね」
「あの娘は別格や」
 メルヴィルは食後のコーヒーを飲みつつ話した。
「ほんまな」
「そうですね」
「そや、それでや」
 その為にというのだ。
「間違っても飲む比べの勝負なんてな」
「挑んだらあかんですね」
「ウイスキー五本空けてな」
 そうしてというのだ。
「そこからさらにや」
「飲めますね」
「平気な顔でな」
「まさにうわばみですね」
「一説によるとあそこまで飲んでるさかいな」
 だからだというのだ。
「あの胸やともな」
「言われていますか」
「これは半分冗談やが」
「半分本気ですか」
「それで言われてるわ」
 そうだというのだ。
「そうな」
「そうですか」
「それでこの前綾乃ちゃんこっちの世界で随分飲んだらしいが」
 メルヴィルは眉を曇らせて話した。
「日本酒樽一つ空けたらしいわ」
「一つですか」
「そうらしいわ」
「樽をですね」
「それで全く平気やったらしいわ」
「日本酒も樽ですと」
 そこまでの量ならとだ、ギンズバーグは言った。
「相当ですね」
「そこから焼酎も飲んだらしいわ」
「さらに凄いですね」
「そうした娘やってことや」
「酒豪ですね」
「あの娘はな」
「ほな仲間にした時は」
 メルヴィルに真剣な顔で話した。
「その酒豪ぶりもですね」
「頭に入れてな」
「お付き合いすることですね」
「そや、酒のことも頭に入れんとな」
「お付き合いは出来へんですね」
「そういうことや、あと今は戦してるさかい」
 だからだとだ、メルヴィルはコーヒーを飲みつつ話した。
「わし等は飲まへんで」
「終わってからですね」
「そや、それからや」
 こう言って今はコーヒーを飲むのだった、メルヴィルは戦が何時まで出来るかも考えつつ今は酒は飲まないのだった。


第三百六十話   完


                     2024・7・1 
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