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ハッピークローバー

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第百三十七話 閉会式が終わってその七

「今日も飲むだけだからな」
「それだけ?」
「送るよ」 
 飲んだ後はというのだ。
「家までな」
「すぐそこだしいいわよ」
 同じ団地の敷地内だからだとだ、かな恵は返した。
「いつも悪いし」
「悪くないだろ、女の子が一人で夜外に歩くのはな」
「危ないから」
「送るよ」
「そうしてくれるのね」
「ただ手をつなぐだけでな」
「キスとかはなのね」
 鳴海と同じ酒を飲みつつ言った、コーラサワーでアルコール度は九パーセントだ。飲みやすいが一気に酔う。
「まだなのね」
「したいのかよ」
「早いわよね」
「俺達まだ高校一年だしな」
「これからね」
「そうだよ、早いよ」
 鳴海は必死の顔のまま言った。
「まだまだな」
「そこから先も」
「もうそこから先なんてな」
 さらに必死の顔での返事だった。
「考えるだけでな」
「考えることあるの?」
「あってもな」
 それを認めはした。
「けれどな」
「しないのね」
「お前も早いって思うだろ」
「就職してからよね」
「早くても大学に入ってな」
 そうしてというのだ。
「それからでいいだろ」
「私もね」
「そう思うよな」
「そうしたことはね」
「だから手をつなぐだけだよ」
「今は」
「それ以上はな」
 それこそというのだ。
「駄目だろ」
「キスも」
「キス!?そんなのはな」
 酒以外のことで顔を赤くさせて言ったかな恵にだ、鳴海はその酒以外のことで顔を真っ赤にさせて言い返した。
「もっとな」
「先よね」
「そんなの十八からだろ」
「私達十六だし」
「早過ぎるだろ」
「そうよね」
「小学生でって奴いるらしいけどな」
 鳴海はこうした話もした。
「何なんだよ」
「ないわね」
「そうだよ、子供だろ」
 小学生はというのだ。
「男の子でも女の子でもな」
「だから駄目ね」
「早過ぎるだろ」 
 鳴海はまたこう言った。
「そこから先もな」
「それで小学生でもね」
「してる奴いるんだな」
「最後までね」
「有り得ないだろ」
「けれど昔はね」
「昔は昔だろ」
 かな恵に即刻言い返した。 
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