| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

気がつけば、何故か大変な事態になっていた件【未完】

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 次ページ > 目次
 

プロローグ

 きっかけは、何だっかは定かでは無い。
 ただ物心がついた頃には、やり遂げなければならない使命があった。

 使命というより、夢のほうがしっくりくるだろうか。夢というのは、人によって違う。

 医学で人を助けることだったり。
 軍に入り、祖国を守ることだったり。
 国をより良くする為に政治の道に入ることだったり。
 etc…。

 とにかく、だ。夢というのは、人それぞれである。
 そんな私だが、共通する夢は無いと自負している。そう、私は未来を危惧しているのだ。

 それは―――終末。終焉ともいう。

 世界の終わりは必ずやって来ると、私は信じているのだ。
 多分、おそらく、きっと。ノアの方舟の例もあるし。

 私のそれは、一時の熱病では決して無い。もっと深い心の底で燃え続け、消えることなく突き動かしているのだ。終末に向けて備えなければならない。いつか来るその日の為に…。

 最も、その為には「金」が必要なのは考えるまでもない。

 宝くじ。
 パチンコ。
 競馬。
 カジノ
 etc…。

 思いつく限り、ありとあらゆる方法で稼いだ。
 
 結果は―――完敗。泣いた、とにかく泣いた。

 宝くじ。合計で50$しか稼げなかった。
 パチンコ。一ヶ月に稼げた金額、日本円にすると1万円。お小遣いかな。
 競馬。カンニングしたい。
 カジノ。一つの店舗残らず、駆逐してやる!

 全財産、2000$!
 泣いた。親に荷物を渡され、一軒家を捨て、マンションを捨て、親友に殴られ、やがてアパートに住み着いた私は号泣した。
 
 暗き部屋で、そう諦めていた頃、一筋の光明が降り注いだ。
 あ、そうだ。投機すればよかったんだ。

 そう思ったら即行動、勉強を凄い頑張った。
 結果、一年後には10万ドル稼ぐことに成功した。拍手喝采の私は、日本人が経営する回らない寿司をいただいた。最高に美味かった。

 そんなかんじで稼げたお金で、次の行動に移行しようと決意した。会社を設立し、より効果的にお金をゲットし、そして世界の終わりに備えるが為に。

 設立した会社名は、「アンブレラ」。

 表向きは薬品開発部門を持つ国際的ガリバー企業として。社名は「傘で人類を庇護する」から由来するもの。社訓は「人々の健康を庇護する」。社章も社名に因んだ「赤と白の傘」。

 アンブレラ社は一気に反響(人気)を呼び、21世紀初頭となる頃には、全米最大の民間企業へと成長を遂げた。

 90%の家庭に製品を普及させ、その政治的、経済的影響力はトップクラスだ。
 表向きはコンピューターテクノロジー関係や医薬品などの会社として。
 裏では兵器開発や”Tーウイルス”研究を。最も莫大な利益が生まれたのは、クリアランスレベルが低い社員には極秘で研究していた遺伝子実験や細菌兵器。

 世界中にアンブレラ社の反響(人気)を呼ぶ国には支部を設け、その内の一つ―――日本にも支部を設けた。

 アンブレラ社所有のとある洋館の遥か地下には、極秘の秘密研究所『ハイブ』を建設。

 ウイルスの研究は『ラクーンシティ』の遥か地下に存在するハイブのみだが、実験する場合は南極の氷の下に存在する主要複合実験施設を中心に行う。

 終末に向けた準備を進める中で、最高幹部を招集した会議も行った。それ以下の社員には、秘密としている。

 この頃となると私の年齢は60歳を超えているのだが、不思議なことに外見容姿は20代前半のまま。このことから共同パートナーや最高幹部にも疑問を持たれたが、「体質」であると告げると理解してくれた。ちなみに私、白髪の女性である。


 閑話休題(*それはさておき)


 最高幹部達にはTーウイルスについてと、これから起こる終末についての顛末を話した。理解してくれて何よりだった。つい「選ばれた人間だけが残るのです」的なことを言ってしまったが、気にしなくて大丈夫であろう。
 
 こうして、終末後の世界に向けて準備が着々と進んできた。ならば、腹心であるこの最高幹部に一任してもよいだろう。優秀であるし。

 「”例の作戦”、指揮のほどよろしく頼む。最大級の緊急事態が発生した場合、起こしてくれ」

 「承知しました、博士」

 私は人間冷凍装置に入り、眠りにつく。ふと思い出したのだが例の作戦とやら、実のところ私はあまり理解していない。ふむふむと頷き、承認の印を押してしまったが大丈夫だろう。
 まさかまさか、「選ばれた人間だけが残るのです」を真に受けた訳ではあるまい。作戦にはビッシリとそういった内容が記されていた為、冗談であるのは一目で分かった。

 …あ、抗えない睡魔が襲ってきたか。
 では私は、世界を救ってくれると信じて、作戦成功を祈っていよう。

 「グッパイ……zzZ」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 さて、ここで問題。

 Q世界を救ったアンブレラ社は、私が起きるとどうなっていたと思う?
 A結論。世界は滅亡し、アンブレラ社は生存者から「敵」と断定されている。

 「貴女がやったことは、決して許されることじゃない!」

 いや本当、一つ言わせて欲しい。―――気がつけば、何故か大変な事態になっている件。 
 

 
後書き
 さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。誤字があれば、報告いただけると幸いです。
 お気に入り登録や評価、感想をドシドシ頂けると嬉しさのあまりモチベーションが上昇します。次回第1話「目覚め」、お楽しみに!
 
< 前ページ 次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧