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現実世界は理不尽に満ちている!

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第1話「どういう状況だ、これは…!?」

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第1話「どういう状況だ、これは?」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 さらばだ、WOSよ。
 ……あ、でもやっぱり嫌だー!!

 時計と共に流れる時を数える。幻想の終わりを――
 ブラックアウトし――

 0:00:00……1、2、3

 WOSよりブラックアウトした彼女は慣れた手つきで、WOSに入る為に現実世界で被っていたヘッドセットとブラグを取ろうとする。
   
 「……ん?」

 女性は違和感を感じた。
 おかしい、ヘッドセットを被っている筈なのだが、ヘッドセットを被ってる感が全く以って感じられない。

 女性は目を開ける。
 見慣れた現実世界にある私の部屋では無い、此処は先程からも居たWOSゲームの要塞司令部。

 「……どういうことだ?」

 時間は確かに正確の筈、いや間違いなく正解だ。
 サーバーダウンによる強制ログアウトされている筈が、いったい…。

 時計を確認する。

 0:01:18

 サービス終了時間をとうに過ぎている。
 そして時計のシステム上、表示されている時間が狂っているはずが無い。

 女性は困惑しながらも、何か情報は無いかと辺りをうかがう。
 だが先ほどから、自分が目を閉じた時から何も変わっていない、要塞司令部だ。

 「サーバーダウンが延期した?」

 考えられることだろう。

 何らかの要因によってサーバーのダウンが延期しているのだ。
 もしそうならGMが何かを言っている可能性がある。女性は先程まで呪うと強く思っていた相手、運営へ連絡を取ろうとするが……運営へ連絡が取れる筈のシステムコマンド、GMコールが一切出ない。

 「は……?」
 
 システムコマンドだけではない。本来なら浮かんでいるはずのシステム一覧が出ていない。女性は慌てて他の機能を呼び出そうとする。

 シャウト、GMコール、システム強制終了入力、etc…。どれも感触が無い。

 まるで完全にシステムから除外されたようだ。

 「な、なるほどな〜……っで納得して堪るかっ!どういうことだ!?」

 女性の怒号が広い司令部の間に響き、そして消えていく。
 そもそも何故私は声を出させるんだっ、声出せない筈だろう?!

 落ち着け、落ち着くんだ私、深呼吸深呼吸だ。
 す〜は〜、す〜は〜…よしではないがとりあえずよし。
 
 何なんだこの状況は?
 疑問が沸々と湧き上がってくるが、一つの結論に達することで女性は納得した。

 そうか、これは夢なんだ。
 一度としてゲーム内で経験したことのないシチュエーションで、一度としてゲーム内で聞いたことのない声で発している私。

 「声だけで判断するのは早い、夢であるならば痛覚なんて感じる筈が、…痛かった」

 痛覚まで感じてしまった。
 いや、痛覚どころか自分の声も聞こえているのだから、聴覚も同様か。
 私が来ている軍服も着心地をよく感じる。

 …本当に夢なのか?

 「ア〜、ギルド長?」

 い、いや夢に決まっている!
 
 現在も機器を操作し、キビキビと働くB1バトルドロイドを纏めるOOMコマンド・バトルドロイドが、同じく声に出し報告して来たのも夢に決まっt……は?

 「ギルド長?」

 再び同じ台詞を繰り返すOOMコマンド・バトルドロイド。
 呆気に取られてどこかに飛んでいた思考が、ゆっくりと戻ってくるのを感じた。
 ヤバい、完全に錯乱状態と化してしまった。

 「…どうした?」

 声音が震えていないだろうか?
 表情は怯えていないだろうか?
 ワクワクして興奮状態となっていないだろうか?……我ながらおかしい、この状況でワクワクってなんだよ。

 とにかく、だ。
 そういったマイナスな事ばかり考えてしまったが、何とか言葉を出せた。

 「ソレガ、敵対ギルドへ派遣シタ艦隊ト超兵器ノ応答ガアリマセン」

 「応答がないだと? 此方から応答はしたのか?」

 「ア〜、此方カラハ特ニ」

 「では直ぐに行え、分かったな?」

 「ラジャラジャ。ア、ソレト、緊急ノ要件ガアリマスガ」

 「その緊急の要件に関しては少し待て。今は少し、考え事をしたいのだ」

 「ラジャラジャ」

 命令を確認したコマンダー・バトルドロイドは上下に首を振り、部下のところへと向かう。

 …会話をしている。
 その事実に気がついた瞬間、体が硬直した。

 ありえない。
 いや、そんな生易しいものではない。これは決して起こりえないことだ。

 会話が出来るなんて、それどころか会話が成り立っている?
 自発的に発言もしている?

 「は、はは…」

 乾いた笑みが止まらない。
 
 本当に現実世界なのか?
 それとも、”WOS世界であってWOS世界”なのか?

 確か、某小説で「異世界に転移する」や「ゲームの力を持って現実世界に転移」というものがあった。
 となると、今の状況に当てはまるのは後者の「ゲームの力を持って現実世界に転移」か。

 非現実的過ぎるが、実際にこのような非現実的な出来事に私はいるのだ。
 何がどうあれ、五感があるのだ、夢ではないのは確実だろう。

 「はぁ、気が重い」
 
 運営と連絡が取れないどころか、親友も同然のフレンドすら連絡が取れないこの状況。
 完全に孤立していると見てよいだろう。

 「さて…」

 何が起こっているか、ちっとも分からんが、直ぐさま状況把握に務める必要があるようだ。
 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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