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金木犀の許嫁

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第二十八話 二人一緒にその十四

「そんなこともしていた位だから」
「ご先祖様達は」
「物凄く質素だったのよ」
「そうだったんですね」
「むしろ維新になって」
 そうしてというのだ。
「神戸に出てからの方がね」
「裕福だったんですね」
「そうだったのよ」
 そうした状況だったというのだ。
「それで維新からもずっとね」
「質素だったんですね」
「お家は立派でも」
 それでもというのだ。
「贅沢や無駄遣いはね」
「しなかったですね」
「士族の価値観は質素がよしだったから」
 その為にというのだ。
「山縣有朋さんもね」
「あの人は汚職で有名ですね」
「汚職はしてもね」 
 山縣にはこうした話が実に多くそれが彼の悪評の原因の一つとなっていてそれは現代にも至っている。
「生活自体はね」
「質素でしたか」
「物凄くね」
「そうだったんですね」
「汚職はしても」
 このことは事実だがというのだ。
「自分の懐には入れなかったのよ」
「じゃあ何に使ってたんですか」
「政治資金よ」
 そちらだとだ、真昼は話した。
「政治にはお金がかかるから」
「そちらにですか」
「全部ね」
「回していましたか」
「それでご本人はね」
「質素なままでしたか」
「お食事もそうで」
 あまりに質素だったと言われている。
「早寝早起き、武芸の鍛錬と乾布摩擦を欠かさない」
「そんな人でしたか」
「色々言われていても」
「生活は質素でしたか」
「そうだったのよ」
「そうでしたか」
「伊藤博文さんは最早無頓着だったけれどね」
 真昼は彼のことは笑って話した。
「もうね」
「女好きですね、あの人は」
「衣食住全部あればいい」
「そんな風ですか」
「とんでもない粗食で」
 このことも歴史に残っている。
「雑草伸び放題のお家に」
「服はどうだったんですか」
「ぼろ布みたいだったそうよ」
「そうですか」
「そんな風でね」 
 それでというのだ。
「物凄くね」
「質素どころじゃなかったですね」
「あの人はね、それで士族の人達も」
「質素でしたか」
「武士の人達がそうだったし」
「そのままですね」
「それで私達もね」
 真田家それに十勇士のそれぞれの家もというのだ。
「質素なのよ」
「そうですか」
「それが代々で」
 今も尚というのだ。
「定着してるわね」
「もう遺伝子レベルですね」
「そうみたいね」 
 真昼は白華に笑顔で話した、そうして夜の女同士の話をしていくのだった。


第二十八話   完


                      2024・6・1 
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