けんぷファー 黒のケンプファー
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第一話『青、赤、白?いいえ黒です』
「あ~さですよ~」
顔に布地のような物がポンポンと頬に叩かれる
「ぅん・・・ん?」
おかしい、この家には俺以外住んでないはず・・・ダレ?
恐る恐る目を開けるとそこには、臓物を出している黒こげのぬいぐるみのクマがいた
「お、起きましたか~。さぁさ、支度しなきゃ間に合いませんよ~」
布団から飛び降り、ゆっくりと置いておいた場所に歩いて戻っていく・・・え?
「ちょ、ちょいと待った」
ガシッ とクマの頭を鷲掴みし、布団の上に置く
「何故動く、何故喋る、そしてこの腕輪は何だ? 常識を超越しすぎて理解出来ないんだが・・・」
先程チラッ と見えた黒い腕輪。一回は外そうと試みたが外れなかった
「あ~、それはですね~」
~ぬいぐるみ説明中~
「ケンプファー、モデレーター、青、赤、白、黒の存在・・・そして俺が黒のケンプファー・・・その他諸々、なーんだかよく分からん」
「今すぐ分かれなんて無理ですからね~ちょっとずつ分かっていけばいいんです」
妙なマイペース感に何故か安心している俺がいた
「そんなことより、学校の準備を」
ふと時計を見ると、色々聞いて整理している間にいつもの時間を過ぎていた
「おっと、ありがとな。じゃ、また後で」
いまいち納得出来ていないが気持ちを切り換え、学校に行く準備をする
「いってらっしゃ~い」
ゆったりとした声を背に家を出た
◆
普段なら幼馴染みのナツルが迎えに来ているのだが、今日は居なかった為一人で登校中
「あれ、詩楼さん?」
「ん?おぉ、沙倉さんか、おはよ」
「おはようございます!そういえば、今日はナツルさんと一緒じゃないんですね?」
「まぁ、たまにはゆっくり登校する時もいいもんだよ」
「そうですか、じゃあ今日は私と学校に行きませんか?」
「ん。んじゃそうしますか」
ちなみにこの沙倉楓は詩楼が通う星鐵学園のアイドルで星鐵三大美女の一角だ。
この沙倉楓に詩楼の幼なじみ、瀬能ナツルと星鐵学園の生徒会長、三郷雫をあわせた三人が星鐵三大美女となっている
ちなみにナツルの幼馴染みとして、ある一部の男女からは反感を買っている
「そう言えば詩楼さん。私があげた臓物アニマル、どうでしたか?」
動いて喋りました なんて言えるわけがない
「気に入ったのならまだいっぱいあるんですよ!ほら!」
嬉しそうに臓物アニマルのカタログを開く楓
「ふ~む・・・コレが妥当かな」
そして何故か普通に答える俺
「お!ハラキリトラとショウシシロクマのバスタオルを選ぶなんて流石です!」
そんな会話をしていると
カッ!
「ッ!?(腕輪が光った!? んなもん聞いてねぇぞ!)」
「?それブレスレットですか?なんか光ってますけど」
「沙倉さん、俺ちょっと忘れ物・・・(とりあえず離れて様子見)」
チャキッ
「・・・オーケイ、オーケィ、これこそ非日常ってやつですか?」
頭に銃を突きつけられ、両手をあげる
「よう、お前があたし達の敵か?随分な色男じゃねぇか」
「いきなりハジキを頭に突きつけるとは強盗か?誘拐か?はたまた殺人かい?」
「馬鹿言え!こんな美しい強盗がいるか!!」
自分で美しいとか言うなや
「誰が外見って言った!?」
「じゃあ名前か?美嶋紅音ってんだ」
「名前も聞いてねえ! 拳銃向けてんだってんだよ!」
「これはあたしの武器だ。トリガーを引けば弾丸が出てお前をぶち抜く、おつむに当たれば呼吸用の穴をもう一つ開ける・・・文学的だろ?」
そう捉えるお前のおつむの中が知りてえよ
「お?沙倉・・・同級生か、しょーがねぇ、あたし達は戦わなきゃなんねーがら・・・」
美嶋紅音と名乗った女はニヤリと笑い
「2人まとめてぶっ殺す・・・」
トリガーに力が込められるが
「その行動からするとアンタ、俺と沙倉さんの人生背負う気あるんだよな?」
ガシッ と銃身を掴み、下に向ける
「何だとテメェ・・・!」
「俺らの人生背負う気あるんだなと聞いている。殺された奴が本来生きてて歩む筈だった人生をアンタは死ぬまで背負い続ける覚悟があんだろうな!!」
『ッ!?』
常人とは思えない程の怒気と殺気を放つ。綺麗事として済まされるかもしれないが、そんなクソみたいな理由で人の人生を奪おうとするのが許せなかった
「チッ・・・説教垂れやがって!」
「・・・その目、引く気はないようだな」
「当たり前だッ!!」
「標的は俺、そうだな?」
「他に誰がいるってんだッ!!」
フゥ とため息をつき
「沙倉さん、悪いけど先行っててくれねぇか?」
「でっでも!」
「大丈夫死にはしないさ・・・さあて、鬼ごっこと洒落込もうか!」
学校と逆方向に走りだし、人気が無い所を目指す
「チッ!待ちやがれ!」
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