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金木犀の許嫁

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第二十八話 二人一緒にその一

                第二十八話  二人一緒に
 幸雄はゼリーを食べ終えるとまた明日と言って難波に向かった、後に残ったのは夜空達であったが。
 四人にだ、朝華は言った。
「お風呂入る?」
「入っていいですか」
「遠慮しないで」
 佐京に微笑んで答えた。
「だって息子になるから」
「俺は、ですか」
「将来ね」
「許嫁だからですね」
「夜空のね、だからね」
「お風呂もですか」
「入って」
 そうしてというのだ。
「ゆっくりしてね」
「有り難うございます」
「幸雄さんもいてよかったのに」
 朝華は彼のことを残念そうに言った。
「気遣いなくね」
「それがです」
「あの人は、なのね」
「はい、謙虚で」
 そうであってというのだ。
「遠慮をされる方なので」
「だからなのね」
「そうしたことは注意されて」
「気を使ってくれるのね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうした方です」
「立派な人ね」
「俺もそう思います」
「そうなのね、けれどね」
「俺と白華は」
「今言った通りね」 
 将来自分達の義理の息子そしてその妹だからだというのだ。
「いいのよ」
「そうですか」
「娘の旦那さんはね」
 まだ許嫁でも既に朝華それに秀樹の心の中ではそうなっていた、それで今も強い声で言うのであった。
「もうね」
「息子ですか」
「血はつながってなくても」
 それでもというのだ。
「もうね」
「息子ですか」
「だからね」
「お風呂も入っていいですか」
「それでお布団で寝ても」
 そうしてもというのだ。
「いいのよ」
「そうですか」
「図々しくないでしょうか」
 白華は眉を曇らせて言った。
「一泊なんて」
「いいんだよ」
 白華には秀樹が話した。
「それは」
「家族だからですか」
「だからね」
「遠慮なくですか」
「それでね」
「一泊していいですか」
「何ならうちで暮らしてもいいんだ」
 こうまで言うのだった。
「うちでな」
「そうですか」
「家族だからな」
「あの、それを言いますと」
 白華は秀樹に考える顔で話した。
「私達のお家にお二人が」
「いや、それはな」
「よくないわ」
 だが二人はこう言って断った。 
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