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危ない場所

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第三章

「少なくとも野宿より寒くないし」
「そこで暮らしていたの」
「そうしていたけれど急病にね」
 それにというのだ。
「罹って」
「お亡くなりになってたの」
「それでその死体がね」
「土地の持ち主さんが見付けたの」
「あの土地持ち主さんがいてね」
「全くの空き地でもなかったのね」
 所有者のいないというのだ。
「そうだったのね」
「そうだったみたいね」
 香那実もそれはと返した。
「これが」
「そうなのね」
「それでその人が見付けてね」
 そうなってというのだ。
「色々わかったらしいのよ、それでね」
「それで?」
「どうもあんたがあの時洋館に誰かいるって言った人は」
「その人だったの」
「ええ、ただこの人何でも逃走中でホームレスになっていて」
 そうであってというのだ。
「殺人とか強盗とか性犯罪とか色々やった」
「とんでもない人なの」
「この人の周りで性犯罪がやたら起こって」  
 そうなっていてというのだ。
「十人位不審死とか行方不明になってるらしいから」
「まさか」
「そのまさかみたいね」
 香那実も否定しなかった。
「どうも」
「そうなのね」
「だからあの時洋館の方に行かなくて」
「よかったのね」
「普段誰も行かない場所だから隠れ住んでいたらしいし」
 その洋館の廃墟にというのだ。
「そんなところに真夜中女の子が近寄ったら」
「ドキュンがいるより危ないわね」
「そんな人がいたらね、だからあの時ね」
「私達近寄らなくてよかったわね」
「ええ、幽霊がいる以上にね」
 まさにというのだ。
「危ない場所だったのよ」
「そうね、誰も近寄らない場所はね」
「中にはそんな場所があるから」
「迂闊に近寄らない方がいいわね」
「幽霊が出る位ならいいけれど」
 それ位ならというのだ。
「けれどね」
「そんなのがいる可能性があるから」
「迂闊には近寄らない方がいいわね」
「真夜中に女の子だけとか」
「行かない方がいいわね」
 二人で話した、そして部活の朝練に出た。
 それから二人はそうした場所には行かなくなった、他のことにも慎重になった。それは洋館の古都からであったことは二人だけが知っていることだった。二人の友情はそれからも続いたがそうすることも続いた。


危ない場所   完


                     2024・2・11 
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