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メシヤと飯屋

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第二章

 思わず擦れ違った彼等の方を振り向いた、そのうえで言った。
「今メシヤと」
「キュ清酒ですか」
「メシヤに行く?主がご馳走してくれるのですか」
 真面目は彼は真剣に考えた。
「教会に行くのでしょうか。それで神父のどなかと一緒に」
「あっ、それは飯屋ですね」
 西田も彼等の話を聞いていたのですぐにわかってこう言った。
「飯、ご飯で」
「そうですか」
「屋はお店です」
「ご飯のお店、食堂ですか」
「そうです、今では結構古い言葉ですが」
 コンデロにこう前置きして話した。
「食堂を飯屋ともです」
「呼びますか」
「はい」 
 そうだというのだ。
「日本では」
「そうなのですね」
「メシヤといえば救世主ですね」
「キリスト教では」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「日本語ではです」
「そうした表現もありますか」
「そうなのです」
 穏やかな笑顔で話した。
「これが」
「成程、食堂を飯屋と呼ぶとは」
 コンデロは笑って言った。
「今知りましたが面白いですね」
「日本語としてですね」
「はい、メシヤともです」
 それともというのだ。
「合います、ご飯を食べますと」
「救われますね」
「生きられます、そう考えますと」
「それならですね」
「飯屋、食堂はです」
 そうした店はというのだ。
「メシヤですね」
「そうなりますか」
「はい、では」
 コンデロは西田に笑ったままこうも言った。
「私達も救われる為に」
「これからですね」
「飯屋に行きますか」
「メシヤにですか」
「そうしますか」
「どうでしょうか」
「いいですね、丁度定食のお話をしていましたが」
 西田はこのことから答えた。
「まさにです」
「丁度いいですね」
「はい、ですから」  
 だからだというのだ。
「ここはです」
「飯屋にですね」
「行きましょう、そして」
「救われますね」
「そうなりましょう」
「それでは」
 コンデロはそれならと応えた、そうしてだった。
 二人で飯屋即ち食堂に行った、そこでそれぞれ定食を食べて救われた。そしてコンデロはそれから食堂を飯屋と呼びよく行く様になった。


メシヤと飯屋   完


                     2024・2・13 
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