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サンダーボーイズ

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第一章

                サンダーボーイズ
 住之江ボートレース場で今話題のバンドがライブをすると聞いてだった、主婦の御坂麻衣薄茶色の長い髪の毛を三つ編みにして右に垂らしておりおっとりした感じの垂れ目で眉は細く胸は九十五はあり一六〇程の背でノースリーブの黄色いシャツに白いロングスカートの彼女は高校時代からの友人で今は同じ住吉区の団地で暮らしている林怜奈きりっとした小さめの芽で黒髪をボブにしていて引き締まった顔立ちで胸は八六位あり一六二程の背で真面目そうな白いブラウスと青いスラックスの彼女に言った。
「サンダーボーイズっていうね」
「バンドがライブするの」
「八条芸能所属でね」
「八条芸能って」 
 事務所の名前を聞いてだ、怜奈は麻衣に言った。
「私達の旦那の系列じゃない」
「八条グループのね」
「あんたの旦那さんは八条製鉄でね」
「怜奈ちゃんのご主人は八条電気で」
「それぞれね」
「だからね」
 そうであるからだというのだ。
「系列じゃない」
「私達も八条スーパーで働いていたしね」
「結婚するまでね」
「今もパートだし」
「系列の事務所所属なのね」
「そうなの、それでね」
 麻衣は怜奈に自分の部屋の中で一緒に紅茶を飲みつつ話した。
「今度行かない?」
「ボートレース場まで行って」
「そうしてね」
「賭けなくてもいいのね」
「いいでしょ」
 二人共ギャンブルの趣味はしないのでこう返した。
「お金払って入場するし」
「ライブだけ観ても」
「そうしてもね」
「それじゃあね」
「何でもメンバー全員ご両親はアメリカ人でも」
 それでもというのだ。
「生まれも育ちも大阪らしいわ」
「そうなのね」
「日本人でね」
「じゃあ歌うのも日本語ね」
「国籍も皆ね」
 こちらもというのだ。
「アメリカじゃなくてね」
「日本ね」
「そうらしいわ」
「最近そうした人いるわね」
 怜奈は飲みながら言った、そして自分が持ってきたチョコレート菓子を麻衣と一緒に食べつつ言った。
「外国にルーツがあって」
「日本人ってね」
「そうよね、まあまともな人ならね」
「誰でもいいわね」
「ええ、紳士かレディーなら」
 それならというのだ。
「ルーツはね」
「どうでもいいわね」
「そっちはね」 
 こうした話をしてだった。
 二人はライブを観に行くことにした、だが。
 ボートレース場に入ったところでだ、怜奈は麻衣に言った。
「そういえばサンダーボーイズって妖怪の名前じゃない」
「あっ、そうね」
 麻衣も言われて頷いた。
「アメリカのね」
「ほら、高等部でもお話あったでしょ」
 隣の席に座った麻衣に言った。
「八条学園ね」
「私達の母校ね」
「あそこでもあったでしょ」
「あそこ世界一妖怪や幽霊のお話多いし」
「その中でね」
「サンダーボーイズのお話あったわね」
「真夜中の大雨の時に」
 まさにその時にというのだ。 
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