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もう通用しない

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第六章

「そうだね」
「お兄ちゃんも思うでしょ」
「巨人の監督に名将は不要だよ」
 確信を以て言い切った。
「無能な監督こそがね」
「必要でしょ」
「巨人は負けないと駄目だからね」 
 邪悪に満ちたこのチームはというと。
「だったらね」
「それならよね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「絶対にだよ」
「堀内が監督の方がいいわね」
「今じゃ通用しない奴が監督になったら」
 巨人のというのだ。
「もうね」
「それに越したことはないでしょ」
「確かに」
「堀内がどうしようもない奴なら
「ずっと巨人の監督でないとね」
「そうよ、本当にずっとね」 
 まさにというのだ。
「やって欲しかったわ」
「嫌な奴だけれど」
「巨人のことしか言わなくてね」
「けれどその巨人の監督だったら」
「実際あの時負けまくってたし」
 そして散々嘲笑されていた、プライドの高い輩にはさぞかし堪えたことであろう。それで同情する人も少なかったかも知れないが。
「今もね」
「やって欲しいな」
「何十年でもね」
「それだけ巨人が負けるしな」
「嫌な奴でもね」
 そうであってもというのだ。
「結構使えるものでしょ」
「嫌なところに行ってもらってか」
「そこを駄目にしてくれたら」
「最高だな」
「だからね」 
 そうであるからだというのだ。
「本当にね」
「堀内はずっとか」
「未練あるみたいだしね」
 巨人の監督にというのだ。
「だからね」
「またやって欲しいな」
「それからずっとね」 
 まさにというのだ。
「やって欲しいわ」
「それを言うとな」
 兄は妹の言葉に強く頷いて答えた。
「僕も同意するぞ」
「そうでしょ」
「弱い巨人はな」
 それはというのだ。
「何と言ってもな」
「最高よね」
「そうだからな」
 それでというのだ。
「本当にな」
「そうなって欲しいでしょ」
「全くだ、だったらな」
「ええ、願いましょう」
「今からでもだな」
「堀内監督復帰をね」
 巨人においてというのだ。
「それも終身でお亡くなりになっても」
「そのままだな」
「あいつの思考をAIにして」 
 そうしてというのだ。
「そのままね」
「監督だな」
「そのAIをロボットにでも搭載させて」
「監督やって欲しいな」
「あの采配でね」
 堀内采配は『迷』采配として評判だった。
「性格と行動でね」
「やって欲しいな」
「そうよ、巨人が負ける為に」
「堀内は必要だな」
「ああした人がいてくれてこそ」
 千佳は本気で言い切った。
「巨人は弱くなってね」
「駄目になるな」
「だからね」
「あのままでな」
「変わらない奴だけれど」
 それでもというのだ。
「そのままでいて」
「巨人の監督復帰だな」
「もうあんな奴の全てが通用しないけれど」
 令和の世の中にはというのだ、勿論野球にもだ。
「そうした奴だからこそね」
「巨人が弱くなる為には必要だな」
「絶対にね」
 こう言うのだった、そして兄妹で巨人が弱くなる為にはどうあるべきかと話していった、巨人が嫌いであるが故に。


もう通用しない   完


                       2024・7・27 
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