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おぢばにおかえり

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第八十二話 三人でのひのきしんその十一

「あの人は僕を嫌ってないんですよね」
「そうなのよ」
 新一君は全力で嫌っているけれど、です。
「決してね」
「そうなんですね」
「だからよ」
「僕もですね」
「嫌わないで」
 そうしてです。
「よくね」
「あの人を見ることですね」
「そうしてね、そうしたらわかるから」
「そうだといいですが」
「人間誰だって間違えるわ」
 少し自信がなくなってこうも言いました。
「それが人間だから」
「誰だってですね」
「新一君だって間違えるでしょ」
「はい、よく」
 新一君もこう答えました。
「間違えます」
「それで先輩もね」
「間違えたので」
「それでね」
 だからだというのです。
「そこはもう済んだことで反省しているなら」
「それならですか」
「ええ、だからね」
 それならです。
「先輩のこともね」
「許してあげる、ですか」
「そうしてね」
「物凄く難しいですが」
「新一君嫌いな人の過去は許さないからね」
「そうした癖性分なんですよね」
「全く。そうしたややこしい癖性分の人もいるってね」
 このことがです。
「私もわかったわ」
「僕を見てですか」
「そうよ」
 まさにその通りでした。
「嫌いになったら嫌い過ぎよ」
「そこを何とかする為にも」
「ええ、先輩と三人でよ」
 私を入れてです。
「ひのきしんさせてもらうわよ」
「わかりました」
 このこと自体は素直に頷いてくれてでした。 
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