金木犀の許嫁
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第二十七話 実家に着いてその九
「それからってな」
「あんた言ってたわね」
「今もね、だからね」
「結婚は先か」
「佐京君が十八歳になったら結婚出来るのに」
「結婚出来てもよ」
法律的にはとだ、夜空はさらに言った。
「無理よ、生活あるしな」
「ああ、それはな」
「やっぱり学生結婚だとね」
「生活が困るな」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「それからよ」
「大学を卒業してか」
「就職してからなのね」
「それじゃあ先だな」
「六年位かしら」
「今私達高二だから」
その年齢の話もした。
「高校あと二年で大学四年」
「それで就職するとな」
「六年ね」
「あと一年位ね」
就職してというのだ。
「経って」
「あと一年か」
「会わせて七年ね」
「そう言うと長いな」
「結構早く孫の顔みたいのに」
「孫って」
そう言われてだ、夜空はその顔をさらに赤くさせた。そして佐京もまたそうなっていて飲み食いを忘れていた。
そしてだ、こう言ったのだった。
「何言ってるのよ」
「あの、孫って」
佐京も言った。
「それこそ」
「いや、だからね」
朝華がその二人に言った。
「結婚したらよ」
「孫も出来て」
「それで、ですか」
「あんた達が孫を連れてよ」
朝華は寿司を食べつつ話した。
「実家に帰って来るのが楽しみなのよ」
「プレゼントだって考えてるんだぞ」
秀樹は天婦羅を食べながら言った。
「お父さん達はな」
「だから佐京君が十八歳になったらね」
「結婚していいぞ」
「そうはいかないから」
夜空の意見は変わらなかった、佐京も無言で頷く。
「七年待ってね」
「そうか、仕方ないな」
「待つわね」
「そうよ、あと気になってたけれど」
ここで夜空は鮭の握りを食べた、そのうえで言った。
「私は許嫁いて」
「真昼か?」
「お姉ちゃんのことね」
「そう、お姉ちゃんはいいの」
「そのことだな」
「実は真昼ちゃんもお話があるのよ」
ここで両親は何でもないといった口調で夜空に言った。
そしてだ、真昼を見てそのうえで彼女に言うのだった。
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