三歳は犬だと大人なので
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第一章
三歳は犬だと大人なので
ふわりは今の家族である国崎家に迎え入れられた時は三歳だった、一家の主である文太はそのことについて妻の百合子に言った。
「ふわりがうちに来た時は三歳だったな」
「それがどうかしたの?」
「いや、犬で三歳だとな」
その年齢ならというのだ。
「大人だな」
「立派なね」
妻はその通りだと答えた。
「そうよ」
「そうだよな」
「大人よ」
「大体一年でな」
犬はとだ、文太は話した。
「大人になるな」
「犬はね」
「そこは人間と違うな」
「全くね、生きものはね」
人間以外のというのだ。
「人と成長が違って」
「一年で一歳ずつは人間とかな」
「限られた生きもので」
「犬とか猫は違うな」
「それでね」
百合子はさらに話した。
「一年でよ」
「大人になるな、だからな」
文太はそれでと話した。
「今はな」
「ふわりは大人よ」
「俺達の家に来た時からな」
「そうよ、三歳でもね」
それだけ生きていてもというのだ。
「子供じゃないわ」
「そうだな、しかしな」
文太はそれでもと言った、二人で彼女の散歩をしながら。
「あの二人はな」
「ふわりの前の家族だった」
「あいつ等はずっと子供だって思ってたな」
「わかってなかったのよ」
百合子は冷たい声で言い切った。
「ふわりのこと、犬のことが」
「一年で大人になるってか」
「だっておもちゃだったから」
「あの連中にとってふわりはな」
「犬がどういった生きものかなんてね」
「わかろうともしなかったか」
「それでね」
そうした考えでというのだ。
「それでよ」
「ふわりをずっと子供と思っていたか」
「そうだったのよ」
こう話すのだった。
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