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名前書けたら入学

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第二章

「その辺りは」
「言うまでもないだろ」
「本当にです」
 まさにというのだ。
「進学あるあるですからね」
「入試で合格するかな」
「スポーツ推薦ですね」
「あるな、それでな」
「長嶋さんはですね」
「スポーツ、まさに野球でな」
 そちらでというのだ。
「立教に入ったんだよ」
「そうですね」
「ちなみに名前書いたらな」
 それでというのだ。
「それでな」
「合格ですか」
「そうだったらしいな」
「もうそれだけで、ですね」
「そうだよ」
「長嶋茂雄って」
「それだけでな、それで立教に入って」
 もつ煮込みを食べている中谷に話した。
「それでな」
「ああなりましたね」
「そうだよ、大学に入ってから注目された人でもな」
「その入学はですね」
「そうだったんだよ」
 名前を書けたら入学であったというのだ。
「大体予想出来るな」
「長嶋さんですからね」
 中谷はそれでと答えた。
「ですから」
「そうだな」
「はい、長嶋さんって本当に勘とか本能ですね」
 そちらで動く人だというのだ。
「まさに」
「ああ、ただな」
 ここで田所はこうした話もした。
「あれで本好きだからな」
「えっ、そうなんですか」
「いや、あんた宇宙人見たみたいな顔になってるぞ」
「長嶋さんですよ」
 これが中谷の返事だった。
「ですから」
「凄い言葉だな」
「もういきなり何するかわからない人で」
「本を読むなんてか」
「はい」
 全くというのだった。
「想像も出来ません」
「それでもな」
「実際にですか」
「あの人本好きでな」
「読書家なんですか」
「特に歴史の本が好きなんだよ」
 そうだというのだ。
「本当にな」
「そうですか」
「それで熱心に本と向かい合って読むんだ」
「凄く意外ですね」
「本当に驚いてるな」
「本能や勘だけじゃないんですね」
 そうしたものに限らずというのだ。
「色々備えているんですね」
「そうだよ、だから面白い人なんだよ」
「ああして」
「そうだよ、長嶋さんは色々なものを備えているんだ」
「だから面白くて」
「敵チームのファンの俺達から見ても面白いんだ」
 そうした人だというのだ。
「何かとな」
「そういうことですね」
「そうだよ」
 田所は笑顔で話した、そして中谷がビールのお代わりを言うとすぐに出した。中谷はそれを飲んでもつ煮込みだけでなく枝豆も食べた、そうして長嶋茂雄の話だけでなくそうしたものも楽しんだのだった。


名前書けたら入学   完


                     2024・7・22 
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