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空港の店

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第二章

「それじゃあ」
「じゃあ僕も行くよ」
「宜しくお願いします」
 こう話してだった。
 二人で店の中に入った、如何にも高級そうなバッグに化粧品に香水があり男性用のものもあった。その中のネクタイをだった。
 草薙は見ていたがそこで店員が来たが。
 黒髪をショートにし店の制服、膝までの黒いタイトスカートと白いブラウスに緑のネクタイ、黒と黄色のタートンチェックのベストを着た背の高いすらりとした切れ長の黒い目で黒髪をボブにしている紅の唇の自分と同じ位の年齢の店員を見てだ、彼は思わず言った。
「あれっ、彩花ちゃん」
「草君じゃない」
 二人は思わず仇名で言い合った。
「八条製鉄に入社したって聞いてたけど」
「うちのアパレルの方に就職したんだったね」
「今こっちで働いてるのよ」
「海外出張から帰ったばかりだよ」
「いや、奇遇ね」
 その女性、草薙とは高校二年の頃クラスメイトだった洲脇彩花は応えた。
「こんなところで会うなんて」
「全くだね」
「世の中狭いわ」
「全くだよ」
「それでね」
 洲脇はさらに言った。
「何か買ってく?」
「ネクタイでいいのあるかな」
「それならね」
 洲脇は草薙にあるネクタイを紹介した、そのネクタイは高かったが質もデザインもよくそれでだった。
 そのネクタイを買った、そして自分の奥さんの為の香水を買った南郷と帰路の中話した。尚草薙は独身である。
「いや、八条学園で」
「一緒だったんだ」
「高二の時のクラスメイトです」
「奇遇だね」
「はい、まさかですよ」
 会社に戻るタクシーの中で一緒に座っている南郷に話した。
「ここで会うなんて」
「人は何処で誰と会うかわからないね」
「そういえば彼女英語得意で」
「今はあそこで働いているね」
「そうですね、しかし顔馴染みがいたら」
 草薙は笑って話した。
「自分には不釣り合いかもと思えるお店でも」
「急に親しみを感じるね」
「はい」
 そうだとだ、南郷に答えた。
「そうですね」
「そうだよ、どんなお店でもね」
「知り合い、特に仲がいい相手がいたら」
「それだけでね」
「親しみを感じますね」
「そうだよ、じゃあ今から会社に帰るから」
 南郷は草薙に優しい笑顔で話した。岩の様な顔だがとても優しい感じだ。
「部長に報告しよう」
「そうしましょう」
 二人でこうした話をしてだった。
 草薙は会社に気持ちよく帰った、そしてまたあの空港に行くことがあれば店に寄ろうと思った。洲脇がいて親しみを感じる様になったので。


空港の店   完


                  2024・7・21 
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