絶対に潰れる店の品もの
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第一章
絶対に潰れる店の品もの
その評判が悪い、兎角店員の態度が最悪でだ。
その店に行ったことあある高校生田村剛太い眉に丸い目と円い口に面長の顔を持つ黒髪を短くした長身の彼はクラスメイトの長島吉兼に言った。長島は一七〇位の背で眼鏡をかけている。細面で眉は細い。黒髪を真ん中で分けていて痩せている。
「駅前の小さな古本屋な」
「ああ、門田堂な」
「あそこ行ったことあるか?」
「あるよ」
長島は田村に嫌そうな顔で答えた。
「僕もね」
「店員最悪だよな」
「あの婆さんね」
「いつもぶすっとしてな」
「お客入ったら睨んできてな」
「不親切でね」
「本のこと聞いてもな」
店の商品のことをというのだ。
「答えてくれないしな」
「全くね」
「接客なってないな」
「最悪だよね」
「しかもな」
田村はさらに言った。
「店の中も暗くてな」
「汚くてね」
「商品もな」
古本もというのだ。
「酷いよな」
「埃そのままだったりしてね」
「傷んでてな」
「あそこね」
長島は田村に話した。
「昔はご主人がやってて」
「それでか」
「その時はよかったらしいんだ」
「そうなんだな」
「この学校出身の先生に聞いたら」
「その先生がここに通ってた頃行ってか」
「知ってるけれど」
それでもというのだ。
「その頃はね」
「ちゃんとしてたんだな」
「けれどご主人が亡くなって」
そうしてというのだ。
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