神々の塔
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第七十三話 狼の遠吠えその二
「鳥は虫を食ってくれるしな」
「農作物だけやなくてな」
「無碍にや」
「退治出来んな」
「それで狼もな」
「同じや」
「そやな」
シェリルにまさにと頷いて返した。
「鳥と同じやな」
「雀なり烏なりとな」
「同じや、というか虫は獣よりもな」
「厄介やな」
「どんな作物にもな」
それこそというのだ。
「虫が付いてな」
「食べるな」
「そうするわ、農薬も使うが」
「使い過ぎてもよおない」
「それはそれでな」
「虫を殺すってことは」
「他の生きものにも影響が出てな」
そうなってというのだ。
「土地もお水にもよおない」
「そやからな」
「必要やが」
農薬自体はだ、この世界の十星連合では農薬も開発されて用いられているのだ。除草剤も開発されてそうなっている。
「それでもな」
「そうしたことがあるさかいな」
「どうしてもな」
「使い過ぎはよおない」
「ほんまな」
「むしろ農薬よりも」
綾乃はこう言った。
「鳥とかに食べてもらった方がええし」
「それな」
芥川は綾乃にまさにと応えた。
「それで雀はおらんとな」
「困るし」
「あと鴨を飼って」
「鴨に食べてもらう」
「そのやり方もあるしな」
「実際連合でもそれやってる人おるし」
「虫はな」
それこそというのだ。
「鳥に食べてもらう方がええわ」
「そやね、そして鴨は」
「やがて食べる」
「あと卵もあるし」
「羽毛も使える」
「何かと有り難いな」
「ほんまにな」
芥川は鴨の味を思い出しつつ話した、実は彼は鴨の肉も好きで鴨なんばのうどんや蕎麦にステーキそれに鍋が好きなのだ。
「鴨を使った農法や」
「そやね」
「虫を食べてくれるしな、しかしほんま狼や鳥はな」
「下手に退治せん方がええね」
「政策としてもな」
こちらとしてもというのだ。
「ほんまな」
「田畑を荒らさん程度で」
「徹底的にやるとな」
「かえって田畑が荒れるね」
「獣や虫によってな
「そやね、しかし」
ここでだ、綾乃はこうも言った。
「うち最初狼怖いって思っててん」
「それは童話のせいやな」
芥川はその理由をはっきりと答えた。
「赤頭巾ちゃんとか狼と七匹の子山羊とか」
「三匹の子豚とかやね」
「そういうの読むとな」
「狼は人とか襲う怖い生きもので」
「悪い奴やってな」
その様にというのだ。
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