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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその六十五

「それはな」
「そして今二人は争い」
「そうしてな」
「どちらがサハラの主となるか」
「それを争っている、だが」
 ここでマールボロは微妙な顔になって話した。
「急にな」
「シャイターン主席の采配が精彩を欠いてきましたね」
「この数日な、そしてだ」
「アッディーン大統領に敗れています」
「何かと今そのことを言われているが」
「私は主席が動けなくなったと見ています」
 モンサルヴァートは鋭い顔と声で述べた。
「急病に倒れたかして」
「それでか」
「はい、それまでの采配とはです」
 ティムール軍のそれはというのだ。
「変わっています」
「シャイターン主席のものではないか」
「はい、あそこまで積極的で攻撃的でなく」
 そしてというのだ。
「また隙もです」
「あるか」
「そして二人が同時にそれぞれ采配を執っている」
「一人ではなくか」
「まるでティムール軍は二手に分かれた様な」
「では」
「はい、主席の弟殿お二人が」
「アブー氏とフラーム氏か」
 マールボロはすぐにその二人の名を挙げた。
「それぞれか」
「シャイターン主席に代わって」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「采配を執っているか」
「お二人の采配も秀でていますが」
「シャイターン主席程でない」
「アッディーン大統領に対せられるものでないので」
 それ故にというのだ。
「しかもティムールの国力の低さも出て」
「オムダーマンと比べてな」
「ですから」
「あそこまで敗れているな」
「ここ数日、もうです」
 モンサルヴァートはさらに言った。
「ティムールは後がありません」
「そうだな」
「はい、二つ目の防衛ラインも突破され」
「そしてだな」
「後は首都のサマルカンド星系まで」
「迫られるな」
「そうなります、オムダーマン軍の進撃は相当なもので」
 相当な速さでというのだ。
「このままです」
「サマルカンドに達するな」
「その近くまで」
「五日でそうなったか」
「僅か五日で」
「戦局が動いたか」
「はい、これまでオムダーマン軍とティムール軍は拮抗していましたが」
 その状況がというのだ。
「変わりました」
「シャイターン主席が倒れたことでか」
「病によって」
 そうなってというのだ。 
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