八条学園騒動記
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第七百五十八話 偉いと思えるのはその十三
「連合でもないですね」
「国家元首でもな」
「法律は適用されますね」
「そんなものはない」
「各国政府もですね」
「中央政府でもな」
「大統領でもですね」
中央政府大統領でもとだ、セーラは言った。
「左様ですね」
「法治国家だからな、法律は全員にだ」
連合のというのだ。
「行き届く」
「そうですね」
「だから免責特権はな」
こうしたものはというのだ。
「連合ではだ」
「ないですね」
「全くな、だが連合ではな」
「エウロパではですね」
「貴族にはあるとだ」
「考えられていますね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「それでやりたい放題しているとな」
「それはです」
「今話している通りだな」
「はい」
まさにというのだ。
「ありません」
「そうだな」
「それは誤りです」
セーラはきっぱりと言った。
「貴族の方々にもモラルはあります」
「俺達みたいにか」
「そうです、むしろそのモラルは」
「高いのか」
「極めて。不心得な人はです」
そうした輩はというと。
「いますが」
「僅かか」
「はい」
そうだというのだ。
「極めて」
「そうなのか」
「モラルの高さも求められるので」
エウロパ貴族にはというのだ。
「ですから」
「それでなのか」
「平民の人達には鷹揚で」
そうであってというのだ。
「そしてです」
「モラルもか」
「極めて高いものが求められます」
「何かそう言われても」
エイミーはどうかという顔で応えた。
「私達にとってはね」
「そうとは思えないですか」
「ええ」
セーラにそうだと答えた。
「どうも」
「そうなのですね」
「連合ではね」
自分達の国ではというのだ。
「もうね」
「貴族イコール悪ですね」
「そうした認識だからね」
それ故にというのだ。
「そう言われてもね」
「受け入れられませんか」
「ええ」
こう言うのだった。
「私達はね」
「貴族の探偵もいないな」
「そうよね」
テンボとジャッキーも言った。
「推理ものでエウロパ出ることあるけれど」
「スパイものでよくな」
「いつも敵でね」
「貴族は指揮官であることが多いな」
「黒幕でね」
「高慢で邪悪な冷血漢であることが多いな」
「いえ、それがです」
セーラはテンボとジャッキーにも話した。
「全く違いまして」
「モラルは高いのか」
「そうなの」
「平民の部下の人達にもです」
彼等にもというのだ。
「決してです」
「酷いことはしないか」
「そうなのね」
「指揮官としての務めを全うし」
そうであってというのだ。
「見捨てることもです」
「しないのか」
「スパイものじゃ平民とか言って平気で切り捨てるけれど」
「そうしたこともしないです」
そうだというのだ。
「むしろ自ら率先して戦い」
「部下を守る」
「そうするのね」
「ノブレス=オブリージュとして」
この考えを以てというのだ。
「そうしています」
「何か全く違うな」
「そうね」
セーラの言葉を受けて二人で話した。
「あたし達が思うエウロパとね」
「そうだな」
「おそらく皆さんは信じないですね」
セーラはこのことはわかっていた、そしてそれがどうしてかもクラスメイト達に穏やかな顔で話すのだった。
偉いと思えるのは 完
2024・4・2
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