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第百三十三話 創作ダンスの後でその一
第百三十三話 創作ダンスの後で
かな恵は高等部の女子全体での創作ダンスの後でだった、クラスに帰ろうとしたところで誰かに呼び止められた。
「かな恵ちょっといいか?」
「あっ、鳴海っち」
声がした方を向くと彼がいたのでかな恵も応えた。
「どうしたの?」
「話したいけどいいか?」
「うん、いいよ」
かな恵はあっさりとした口調で答えた。
「時間あるしね」
「それじゃあな」
「うん、何処でお話するの?」
「大した話じゃないからな」
だからだというのだった。
「別に何処でもな」
「お話していいの」
「ああ、人に聞かれてもな」
そうなってもというのだ。
「別にいいよ」
「そんなお話なの」
「それで何処で話す?」
「それならそこでお話する?」
かな恵はグラウンドの端に目をやって鳴海に話した。
「あそこに座って」
「そうするか?」
「別に聞かれてもいいって言ったけれど」
それでもというのだ。
「やっぱり聞かれない方がいいわよね」
「いや、本当にな」
「別にいいの」
「ああ、大した話じゃないからな」
だからだというのだ。
「別にな」
「そうなのね」
「けれど聞かれないならな」
それならというのだ。
「それでいいさ、じゃあな」
「ええ、お話しましょう」
「それじゃあな」
鳴海はかな恵の言葉に頷いた、そうしてだった。
二人で横に並んでグラウンドの端の土手になっているところに横に並んで座った、そうしてであった。
かな恵は鳴海に顔を向けてだ、彼にあらためて尋ねた。
「それでどうしたの?」
「いや、昨日お前うちにハンバーグ持って来たよな」
「まだ焼いてないのね」
かな恵も言われて思い出して答えた。
「あれね」
「あれうちで焼いて食ってな」
それでというのだ。
「美味かったけれど母ちゃんが特に喜んでな」
「おばさんが?」
「お前にお礼言えって言われたんだよ」
「それでこっちに来たの」
「ああ、今日言うつもりだったけれどな」
「さっき会った時言えばよかったんじゃ」
「他に色々あって言いそびれたんだよ」
そうだったというのだ。
「それで今来てな」
「言うのね」
「ああ、有り難うってな」
鳴海はこの言葉を出した。
「伝えてくれってな、あと実際のお礼もな」
「おばさんしてくれるの」
「今度ケーキ買うからってな」
「ケーキは嬉しいけれど」
それでもとだ、かな恵は鳴海に言葉を返した。
「気を使わなくてもね」
「いいっていうんだな」
「別にね。余ったからね」
それでというのだ。
「お裾分けさせてもらっただけだし」
「そう言うけれど物凄く美味かったんだよ」
かな恵の作ったハンバーグがというのだ。
「俺も食ったけれどな」
「普通に作っただけよ」
「その普通がだよ」
かな恵が言うそれがというのだ。
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