神々の塔
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第七十一話 龍神その七
「人柱ってあるな」
「中国でもあったのね」
「聞いたことあるわ、日本でもあったやろ」
「そうみたいね、それで毛利元就さんが」
中国地方を制覇したこの戦国大名がというのだ、実は城兵を助けると言って城から出させ騙して皆殺しにしたりとかなり悪辣なこともしている。
「お城に字を刻んだ石を入れて」
「人柱を止めさせたな」
「そんなお話もあったわ」
「そやったな」
「それで」
そのうえでというのだ。
「織田信長さんもそうしたことせえへんで」
「代わりに地蔵さんとか墓石集めてな」
「お城の結界にしてるわ」
「安土城のな」
「あれは見事よ」
確かな顔でだ、アレンカールは言った。
「そのまま朽ちるしかないかも知れなかった墓石とかを集めて」
「それで霊力の結界にしてな」
「お城を護らせるなんてね」
「見事やな」
「実にね」
「それで天主閣に多くの宗教画、色々な宗教のそれを描かせた」
「見事なものよ、ほんまね」
アレンカールはさらに言った。
「生贄よりもね」
「そして人柱よりもな」
「神様が本当に喜びものを捧げないと」
「生贄なんか求める神様は邪悪でな神様でな」
「殆どの神霊さんはちゃうわ、現に」
アレンカールはさらに話した。
「この世界神霊さん達の言葉聞けるけど」
「生贄求める神霊さんおられへんわ」
「殆どね」
「そやな」
「ほんま生贄はね」
これはというのだ。
「あかんわ」
「そうやな」
「ええ、ただお供えはね」
「せんとな」
「食べものなり飲みものなりを」
「あかんわ」
羅もその通りと答えた。
「神霊さん達はそうしたものこそ喜びはるし」
「そうしないとね、聖餅もワインもね」
アレンカールはキリスト教の話をした。
「ほんまね」
「キリスト教では欠かせへんな」
施はまさにと言った。
「ほんまに」
「そうしたものはね」
「あれも生贄の名残らしいが」
「パンが身体でね」
即ち肉でというのだ。
「ワインがね」
「血やな」
「そうらしいけれど」
「今はその二つでな」
「この二つこそがね」
「キリスト教の神様が求めるもんやな」
「そやからね」
だからだというのだ。
「ちゃんと捧げてるし」
「キリスト教でも」
「他の宗教でもね」
「そうしたもんは捧げへんとな」
「駄目よ、しかしね」
ここでだ、アレンカールはこうも言った。
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