八条学園騒動記
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第七百五十七話 麻薬がもたらすものその九
「そう考えるとな」
「したくなくなるな」
「今お前が話したみたいな奴がなるな」
「そうだ」
「それならだ」
「もう布施なんてしないな」
「苦しめばいい」
餓鬼になってというのだ。
「ずっとな」
「自分だけでな」
「図々しく恩知らずでな」
「尊大でだ」
「そして文句ばかりならな」
そうした性根ならというのだ。
「もうだ」
「餓鬼になっても」
「そのままだ」
「苦しめばいいな」
「餓鬼はかなり苦しむという」
餓えと渇きにだ。
「その苦しみをだ」
「ずっと受けていいな」
「報いを受けろ」
人間だった頃のというのだ。
「今お前が話した奴もな」
「兎に角どうしようもない奴だな」
「誰が何をしても更正しなかったな」
「手を差し伸べてな」
助けようとだ。
「感謝しないで勝手にだ」
「ふんぞり返ってか」
「自己満足のままだ」
「生きてか」
「そうして誰かの為にはな」
「一切何もしなかったな」
「そんな風だった、自分はこの世で一番偉いとだ」
その様にというのだ。
「勝手にな」
「思い込んでいたか」
「何がどう偉いのか」
それはとだ、テンボも忌々し気に話した。
「俺もわからないがな」
「全然偉くないじゃない」
エイミーは呆れた口調で応えた。
「何も持ってなくてね」
「何もしたことがないな」
「それで何も出来ないんでしょ」
「完全な無能だったとな」
その様にというのだ。
「今も言われているな」
「それでね」
「何が偉い、だな」
「それもこの世でなのね」
「一番な」
「普通におかしいでしょ」
「どうも家の長男さんだったらしい」
テンボはこのこともここで話した。
「普通の家のな」
「普通の家の」
「貧乏な方のな」
「それで何で偉いのよ」
「だから長男さんだからな」
「それがどうしたのよ」
「それで俺も終わると思う」
テンボは心から言った。
「実際にな」
「そうよね」
「だがそれでだ」
家の長男でというのだ。
「甘やかされてな」
「それでそこまでなったの」
「そうらしい」
「いや、普通ね」
エイミーはここまで聞いて有り得ないといった顔でテンボに言った。
「甘やかされてもよ」
「ここまではならないか」
「そうでしょ」
「俺もそう思うが」
「甘やかされた人は多くても」
世の中にというのだ。
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