金木犀の許嫁
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第二十四話 たこ焼きその六
「たこ焼きがね」
「第一なのね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「蛸のお料理なら」
「それで今もお話してるね」
「そうよね」
「もうね」
それこそというのだ。
「お刺身もいいけれど」
「たこ焼きは最高の蛸料理ね」
「そうだと思うわ」
「確かに美味しいわね」
オーストラリアの娘も否定しなかった。
「私もそう思うわ」
「今ではそうなのね」
「来日する前に聞いて」
「何を?」
「だから日本で蛸を食べるって聞いて」
このことをというのだ。
「あんなの食べるのってね」
「ああ、思ったのね」
「そうだったけれどいざ食べたら」
「これが美味しいでしょ」
「ええ、驚く位ね」
「そう、蛸は日本人にとってはね」
「美味しいものね」
夜空に言った。
「そうね」
「そうなったのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「図鑑本当にどう食べたら美味しいかを書いてるのね」
「そうよ」
夜空はその通りだと答えた。
「私も読んだから」
「そうした図鑑を」
「ミズダコだって」
人を襲うというこの蛸もというのだ。
「人を襲うとかね」
「書いていないのね」
「そうなの」
こう言うのだった。
「本当にね」
「そうなのね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「私達もミズダコといっても」
「怖いって思わないのね」
「怖いと思う日本人はね」
ミズダコをというのだ。
「いないんじゃない?」
「あくまで食べものね」
「絶対にね、ミズダコに襲われた日本人よりも」
それよりもというのだ。
「ミズダコを食べた日本人の方がね」
「多いのね」
「遥かにね」
ただ多いだけでなくというのだ。
「そうよ」
「そうなのね」
「ただヒョウモンダコは」
この蛸はというと。
「最近になって知られてきたわ」
「あの蛸毒あるわよ」
「噛まれたら危険よね」
「墨は出さないで」
そうであってというのだ。
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